非常勤会計士の方が稼げる?監査法人の非常勤と常勤を比較してみた 

非常勤会計士の方が稼げる?監査法人の非常勤と常勤を比較してみた 監査法人

監査法人も合格者数減少と働き方改革、手続きの増加等で人手不足の状況となっています。

人手不足を受けて非常勤勤務の会計士の時給もあがっており、非常勤で監査をしながら独立する方も増えています。

又、常勤の会計士の方でも非常勤の時給を聞いて安易に非常勤になろうかなといっている方もみかけます。
今回は非常勤勤務の会計士と監査法人の常勤の会計士を報酬・ワークライフバランス・キャリアの観点から比較して、非常勤のメリット・デメリットやどのように非常勤の案件を探すのかまとめてみました。

監査法人の非常勤って?

監査法人ではコストのほとんどを人件費を占める構造になっています。

一方で監査法人の繁忙期は企業の3月決算が集中する4月~5月が多く、季節労働者の色合いが強く、コストの調整がしやすい非常勤のニーズが高いのです。

非常勤として働く要件としては、監査経験が3年以上で最低条件であることが多くインチャージがあると歓迎されます。

又、繁忙期である4月、5月稼働が可能で年間40日~50日程度の稼働ができる方といった時間的な要件がある求人もあります。監査法人によっては非常勤の掛け持ちを禁止している法人もあります。

報酬の観点からの比較

まず報酬の観点からの比較です。

非常勤では、インチャージやマネジメントをするケースはあまりありませんので、常勤の場合はシニアクラスを比較対象とします。非常勤の場合も5年程度監査経験を積んだ場合を想定します。

大手監査法人の場合

大手の場合、常勤のシニアクラスだと残業をしない場合だと600万~680万程です。
残業がない場合は月給は35万~40万程度です。
非常勤の場合は、大手の場合は中小よりも時給が低いことが多く5,000円程度が相場になります。

1カ月が20営業日とすると1日7時間勤務で月給が70万程になります。
仮に大手監査法人の概ねの年間休日120日程度を除いた場合で年収を計算した場合は(365日-120日)*7時間*5,000円=857万程度になります。
残業をしない場合は3割から4割程度非常勤の方が給料が高いといえます。

中小監査法人の場合

中小監査法人の場合は、クライアントの報酬水準が低いことが多く、固定費である常勤の会計士を雇う余裕がないケースがあり、非常勤の会計士の方が多い監査法人もあったりします。

通常の時期は最低限の人員で業務を回して、繁忙期だけ傭兵として非常勤勤務の会計士をかき集めて監査を行っているのです。
常勤の場合は、報酬面で大手に劣ることが多く、600万程度のケースが多いです。

一方で非常勤は、大手以上に高いことが多く、時給は6000円以上、日給は5万円以上が相場です。
中には時給8,000円~10,000円といった案件もあります。

そうすると(365日-120日)*7時間*6,000円=1,029万程度が年収となります。
だた、上記に記載したように繁忙期のみの稼働となることが多いので、年間を通じて働ける場合は少ないかと思います。

常勤と非常勤を比較すると7割程度非常勤の方が高く、圧倒的に非常勤の方が報酬面は高いです。

上記のように単に時給という面だけ比較すると常勤よりも非常勤の方がよいようにみえます。

とはいえ、本当に非常勤の方が割がよいのであれば、需要と供給の関係から非常勤を選択する方がもっとおおくなるはずです。
上記の時給以外にも考慮すべき事項はあります。常勤の会計士は守られているのです。

社会保険料や年金等も考慮した場合

忘れてはいけないのは、非常勤の会計士にはない社会保険料の負担や年金等の目に見えにくい報酬です。

公認会計士協会の会費、CPE取得のための費用

年間で12万程かかります。非常勤の場合多くは自己負担になります。

又、監査法人勤務だとE-learningを視聴するだけでCPEの単位が取得できますが、フリーの場合、自分で対応しないといけません。無料で受けられる講座もありますが、1回あたり5,000円程度かかる講座もあり、こちらも自己負担となると意外と大きいです。
その他、大手の場合は、基本CPEは会社が提供する研修を受ければ、単位は満たせることが多く、業務時間中に研修を受けたり、TOEICを受けたりといった点もあります。

社会保険料

社会保険料も会社員時代は労使で折半でしたが、フリーになると全額自分で支払う必要があります。

社会保険には「健康保険」「厚生年金」「労災保険」「雇用保険」があります。

・厚生年金保険

意外と忘れがちなのが、会社に勤めていると厚生年金保険料の内、半分を会社が負担しているという点です。独立してフリーになると自分で国民年金保険に加入して1カ月あたり1万5590円程度年間で187,080円程支払う必要があります。

会社員時代に支払っていたの月々の給料(平均標準報酬額)の18.182%で半分は会社が負担してくれるので、9%程度になります。
月給が40万の場合は7.2万(自己負担は3.6万程度)なので国民年金保険と比較すると将来もらえる年金の額が大きく変わってきます。会社負担分のベネフィットは年間換算すると43万程になり、意外と大きいのがわかるかと思います。

・国民健康保険

監査法人勤務の場合は社会保険加入だったかと思いますが、非常勤となると国民健康保険に加入する必要があります。社会保険も半分は会社が払ってくれていましたので、フリーとなると負担増となります。

参考までに年収が700万円の場合のフリーランスと会社員の手取り額の比較をすると年間で56万程度の差が生じます。

フリーランス会社員差異
健康保険料730,000311,496418,504 高い
介護保険料000
年金195,120636,360441,240 安い
所得税581,300326,900254,400 高い
住民税512,100385,100127,000 高い
個人事業税205,0000205,000 高い
手取り額4,776,4805,340,144563,664 安い

出典:http://jigyou-tax.hajime888.com/j19.html

退職金

非常勤の場合は退職金がでません。一方で金額は多くはないですが、常勤の場合はシニアで5年程度働くと100万程度程度になります。職位と勤続年数によって金額が積みあがっていきます。
年額換算すると20万円程度になります。又、公認会計士企業年金基金に加入している監査法人は年間で10万程プラスされます。

有給休暇

非常勤は有給休暇がないかと思います。
大手の監査法人では有給休暇20日に加えて、5日程度のリフレッシュ休暇が付与される法人が多いです。時給で換算すると25日*7時間*5,000円=87.5万程度のベネフィットがあるといえます。

結局どちらが得か

上記をすべて考慮すると常勤の実質的な報酬は150万円~200万程度上乗せされます。

これを考慮したとしても給与だけをみると非常勤の方が常勤職員よりも高待遇です。
しかし、これは繁忙期がある監査法人の特性上、ある意味当たり前といえます。
又、非常勤は人余りになると突然契約が切られたりするリスクがあります。

一方で常勤は事業会社よりはリストラがありますが、割増の退職金も支払われますし、次の転職先を探す猶予があります。
非常勤の方が時給でみるといいのはリスクプレミアムが乗っているのでしょう。
2011年頃の会計士の労働市場が厳しい時期には、小規模監査法人が日給3万(現状の相場よりもかなり低い)で募集したところ、1名の募集に対して、100名の応募があったという話も聞きたことがあります。
現状では考えられない話ですが、市況のいい時期しか知らない会計士の方は、今後そのような時期がまた来る可能性が十分あるということは頭に止めておいた方がいいでしょう。

ワークライフバランスの比較

これは圧倒的に非常勤の会計士の方がいいです。
大手監査法人はかなりワークライフの改善が進んできているものの、中小は激務の監査法人もあります。
非常勤の先にもよりますが、週2回残業なしなどかなり自由に自分のペースで予定を組めることが多いです。
又、自分の事務所を持っている場合は、自分の事務所、自宅で作業等融通が効くケースもあります。条件を詰めるときにしっかりとそのあたりの話をしておきましょう。
又、非常勤にはインチャージやマネジメントを任せられることが基本的にないため、ストレスはあまりなく、専門職として仕事ができる魅力があります。
ママさん会計士でブランクがある方や家庭の都合でフルタイムでは働けない方としては、かなり魅力的かと思います。

キャリア面での比較

キャリア面ではやはり常勤の方が会社勤めをする場合は職歴として有利になります。

履歴書でも圧倒的に正社員の方が事業会社に勤めるにしても、コンサルや監査法人に移るにしても面接する側としては評価が高いです。なぜ非常勤で勤務していたかきちんと説明できる必要があるでしょう。
ただ、非常勤の道を選ぶ方は通常は会社勤めをするのではなく、独立の道やフリーランスとして生きる道を選んだので、あまり問題にはならないかと思います。
不況になったとき、再就職が困難になるという点は頭に入れておいた方がいいかと思います。

大手と中小で積める経験

積める経験も大手の場合はスタッフワークが多くなり、常勤のスタッフとは異なり長期的に成長させようというインセンティブも働かないので、経験を積むという意味ではあまり魅力的ではないでしょう。
常勤だと今後の成長につながる責任ある科目が割り振られますが、非常勤はそのチームにとってはいずれいなくなる可能性が高い人です。
あくまで一時の調整弁としての役割が強くなり、他の人からすると積極的に指導したりといったインセンティブはあまりなくなります。
大手に勤務して入れば、その道の専門家がいて、ナレッジデータベースも充実しているため、知識のアップデート・習得は用意ですし、上席者が経験豊富な方であれば、見て学べることも多いです。
独立した場合、自分の上司にあたる人はおらず、自分で自分を管理して、専門職としての知識の維持・向上を図る必要があります。
フリーランスとして独立した方で、やはり専門的な分野の仕事は、組織の方が情報へのアクセスがしやすく、人・経験もあつまりやすいということで、組織に戻る方も一定数存在します。
一方で、淡々と仕事をしてストレスなく、稼ぎたい方には向いているといえます。
中小監査法人の場合で非常勤中心の場合は色々と経験が積める法人があるようなので、経験重視の方は中小監査の方が望ましいでしょう。
又、大手はネームバリューである程度人が取れますが、中小は人手不足なので、時給は中小の方が高いです。

又、非常勤の監査のみで独立した場合はアップサイドが限定されるというのはデメリットになります。

大手監査法人で順調に昇進し、パートナーになれば、1,500万~3,000万程度が望めますので、独立して非常勤の監査のみを行うメリットはそれほど大きくないといえます。

非常勤監査だけで独立するのは、リスクリターンの面からあまり賢明とはいえないでしょう。

但し、ライフワークバランスの充実や他の事業が軌道に乗るための一時しのぎや事業ポートフォリオの一部としての活用がよいのではないでしょうか。

まとめ

当たり前の結論ですが、非常勤と常勤それぞれどちらがよいということはなく、それぞれメリットデメリットがあります。
自分が何を重視するか(お金・ワークライフバランス・社会的地位・積める経験)かにより結論が変わってきますので、自分が求めているものが何かのかよく考えることが重要です。
今の環境下では非常勤の監査というセーフティーネットがあるので、会計士は転職するにしても独立するにしても色々とチャレンジしやすい環境であることは間違いないかと思います。

どのように非常勤監査の案件を探すのか

ではどのように非常勤の案件を探すのでしょうか。
一つの方法ではなく、色々なルートから情報をとって比較し、一番条件がよい案件を働く方がいいでしょう。

まずはcareer naviという公認会計士協会が斡旋している就職及び就職支援をしているサイトと各監査法人のホームページで非常勤の案件を探しましょう。
又、元居た監査法人で良好な関係を築いている方は、連絡をとってみましょう。
今はかなり人手不足なので、断られるということはないのではないかと思います。
次に転職エージェントを使って非常勤の案件を探してみましょう。非公開で応募している法人もあるので、そういった案件も拾うためになります。
以下監査法人の非常勤案件も扱っているおすすめのエージェントになります。

MS-JAPAN

非常勤の案件も保有しており、実際に紹介されました。又、監査の非常勤に限らず、経理のサポートで非常勤スタイルの求人や非常勤監査役といった求人もあります。

マイナビ会計士

大手マイナビが会計士に特化した転職支援を展開しています。
大手ならではの求人数と会計士専門のエージェントが魅力です。
非常勤案件も見かけたことがありますし、副業可の中小監査法人等の案件等があります。

ジャスネットキャリア

通常のエージェントは3ヵ月等期間を区切ってサポートしますが、生涯サポート体制をとっているようで、かなりの数の会計士が登録しており、中小監査法人の求人も豊富です。
独立会計士について執筆等で関係をもっている方も多く、登録しておいて損はないでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました