公認会計士の事業会社経理への転職【組織内会計士】

公認会計士の事業会社経理への転職 事業会社

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監査法人から事業会社(一般企業)の経理へ転職される方が20代~30代前半の若手層中心に段々と増えてきました。
監査法人の大規模なリストラがあった2010年前後に比べると企業内会計士という認識も一般的なものになってきて、企業側も会計士の扱いに慣れてきた面もあろうかと思います。

事実、日本公認会計士協会の組織内会計士ネットワークの加入者数は、年々増加してきています。

組織内会計士数

正会員は、組織内会計士である会員・準会員を指し、賛助会員は、組織内会計士に関心のある会員・準会員を指します。実際は、組織内会計士ネットワークに登録していない会計士や会計士登録していない会計士の方もいるので、実際の数はより多くなります。

2014年と2018年末を比較すると組織内会計士の数は、1.8倍近くに増加しています。
転職理由としては、
・監査法人は激務だからワークライフバランスを実現するために転職したい

・経理から始めて経営企画に関わってみたい.

・監査以外のスキルを身につけ、視野を広げたい

等様々な理由があるかと思いますが、いずれのケースにしても、内情は企業により異なるため、事前の徹底した情報収集が転職失敗回避への近道といえるでしょう。
今回は、事業会社の経理を経験した会計士が事業会社経理へ転職するメリットや注意しておきたい点、事業会社経理に転職する場合のおすすめのエージェントについて解説します。

事業会社経理に転職するメリット、魅力

ワークライフバランス

事業会社に転職する理由として多いのが、やはりワークライフバランスを重視しての転職です。

結婚し、子供ができたのをきっかけに働き方を見直したい

パートナーを目指して、法人のために自分を犠牲にして奉公するのに疲れた…

等色々あるかと思いますが、一般的には事業会社の経理の転職でワークライフバランスは良くなる傾向にあります。

監査法人は独占業務があるとはいえ、サービス業で複数のクライアントで主査を勤める場合は、休みの日であっても会社携帯に問い合わせがきたりといったこともありますし、会社の資料提出が遅い、出来がわるいのに引っ張られて短時間で監査をしなければならないといったこともあったと思います。
複数のクライアントを受け持っているので、定時までは一つのクライアントの仕事をし、定時後に事務所に戻って別のクライアントの残作業をするということもあります。

一方、経理は現場からの資料が遅い結果、同様に短期間で決算を締めなければならないといったことや経理にとっての顧客である経営陣にレポートする際に対応が必要等はありますが、基本的に一つの会社のことを考えていればよいです。

又、監査は独占業務であるがゆえにできる人は限られています。
一方、経理は会計士資格がなくてもできる仕事です。
それだけ母集団が多く、代わりやサポートが見つかりやすい仕事でもあります。

ライフステージに応じて働き方を変えたいと思う働く女性にとっては、例えば子供ができたばかりで忙しい時は時短にして一部をパートにやってもらうということで実現できます。

従って、時間配分が立てやすく、ワークライフバランスはよい傾向にあります。

ただ、監査法人も法人にもよりますが、世間の長時間労働に対する姿勢が厳しくなってきており、労働環境も改善してきているのかなと思います。
年度決算の監査等の繁忙期の時期は休日出勤もあり、かなり大変なのは変わらないとは思いますが、それ以外の時期であれば残業時間は減少してきているかと思います。

福利厚生

大手監査法人の福利厚生制度というと昔は、残業時の夕食代補助という時代もあったようですが、カフェテリアプランというポイントで物品の購入やスポーツクラブ、宿泊施設の利用ができる制度があったり、出張手当等最低限になっているかと思います。

福利厚生に関しては、一般的には監査法人と比べると事業会社の方が充実している面が多いかと思います。

住宅手当や社員寮、社員食堂、持株会の補助等の制度を導入している会社もありますし、会社独自の企業年金制度をもっている会社も大手企業中心に多いです。
厚生年金とは別の企業年金制度はやはり監査法人に比べると充実している企業が多いです。

ただ、最近では事業会社においても傾向として福利厚生制度を縮小しているので、会社によっては、転職先の福利厚生制度が監査法人と大きな差がない場合もあります。
又、ベンチャー企業や外資系企業は日系大手企業に比べると福利厚生は劣る傾向にあります。

視野が広がる、スキルアップにつながる

事業会社経理へ転職するメリットとして、実際に財務諸表を作ってみることで視野が広がるという点が挙げられます。

監査法人は基本的には、公認会計士という同質の人間で構成されているので、会計の話をしても大体通じますし、クライアントとのやり取りも経理の人間を通して話をすることが多いかと思います。

しかし、事業会社では、会計のことをほとんど知らず、現金主義で考える人や普通に利益操作と思われるようなことを主張してきたりといったことが多々あります。

そのため、仕訳を切ったり、会計処理を考えたりするよりも、以下に適切に会計処理を行えるように仕訳を入れる前の環境を整備するか、会計のことを知らない人間に理解をしてもらうかといったことが重要になります。

又、経理の実務経験のみならず、事業会社に転職することで税務、予算作成、IR、資金繰り等業務の幅は広がります。

こうした経理業務も単純作業はAIに代替されたり、アウトソースが進んで単価は下がっていく傾向にあるかと思いますが、最終的にAIの結果をレビューしたり、アウトソース先を管理する総合的な会計スキルがある人間は必要とされると思います。
将来転職する際にも監査経験のみの会計士よりも転職の選択肢は広がりますし、市場価値は高くなるでしょう。
監査は、最終的な判断の部分は監査人が行う必要があるため、AIにより代替されることはないと思いますが、徐々に現場で必要な補助者・単なる作業者の人数は減ってくる可能性は高いです。
ただし、自分である程度キャリアをコントロールできる会社に転職しないと同じ業務ばかりを行い、スキルダウンとなる可能性もあります。
特に上記のようなケースは古い大企業に多いので、ローテーションの有無、5年後、10年後どのような業務で、どのようなポジションにいるのか面接を通して確認しましょう。

余談ですが、新卒で監査法人に勤務してきた方は、予算や財務諸表作成経験がない状態で監査をしていますが、事業会社への出向等で経理を経験すると予算作成時にどのような会社の不正に対する動機が起きるのか等を肌で感じることができて、よりよい監査ができるのはないかと思います。

現状だと一旦出向すると監査法人の出世コースからは外れてしまう傾向にあるので、難しいところです。

事業会社の経理への転職の際に確認するポイント、デメリット

会計士が事業会社へ転職する場合の確認すべきポイントや気をつけるべき事項について記載しました。

経理に転職する場合は、業界、規模等を大まかに決める

経理職として転職する場合は、業界、企業規模、上場の有無により経験できることが決まってくるので、大まかに把握しておきましょう。

業界

業界は、メーカー、商社、金融、小売り等色々あるかと思いますが、会計士に転職先として人気があるのが、メーカーです。
メーカーの経理職に転職した元同僚によると「時々出張で工場を視察できたり、モノづくりに関わっていると実感できる」と聞きます。
又、比較的雇用が安定しているという点や管理会計や原価計算の知識を活かせること、比較的穏やかな社員が多いことに魅力を感じる方もいるようです。
但し、転職する年齢にもよりますが、メーカーに転職する場合は、給与が下がる傾向にあるので、注意が必要です。
又、商社も特に総合商社の場合は、監査法人からの転職で給料が上がる転職先として人気があります。
金融も金融事業部出身の方の転職先として、人気があります。
銀行や生保の場合は、会計処理が特殊で、長くやると他の業界への転職は難しくなる点に注意が必要です。

企業規模

規模についても、職務がどの程度細分化されているかにより、何ができるかが大きく変わってきます。
小規模であれば、色々なことを短い期間で経験できますが、一方で専門性は大企業の方が高くなる傾向にあります。
小規模会社の場合は、周りのレベルがそれほど高くはないため、業務を教えてもらうというよりも自分で情報を能動的に取得して、自ら発信していくという姿勢が必要かと思います。

上場企業か非上場企業か

上場企業か非上場かにもよって、得られる経験に差がでてきます。
上場企業の方が、一般的には決算短信、有価証券報告書、決算説明資料といったより広い経験が積め、市場価値は高くなる傾向にあります。
給料も上場企業の方が高い傾向にありますし、会計士の経験が活きるので、上場企業に転職する会計士の方が多いです。
ただ、上場企業の場合は、開示の期限があり、投資家に対する説明も考えなければならないため、業務が集中し、遅くまで決算作業に追われることもあります。
非上場会社の中にも、良い会社はあるので、自分が求めるものが市場価値アップなのか、直近の年収アップなのか、ワークライフバランスの改善なのか明確にすることが必要です。

経理は会計士資格がなくてもできる仕事

上記でも触れたように会計監査は、公認会計士の独占業務ですが、経理の仕事は、会計士じゃなくてもできる仕事です。

資格の力をもっとも活用できるのは、やはり監査業務になりますし、今やっている仕事は会計士である必要はあるだろうかと考えると葛藤にもなります。

会計士としての能力を活かせる職種か

会計士は、財務会計や会計監査、内部統制の専門家であって、事業会社の経理に転職して即戦力として能力を活かせる仕事と生かせない仕事があります。
ベンチャー企業等に多いですが、会計士だから会計周りのことならできるだろうと考える方もいるので、期待値のコントロールが必要です。
監査法人から会計士を管理部につれてきて、会計システムで仕訳も切ることができず、何もできないといった苦情・嘆きも時々聞きます。
内部統制や監査対応等の上場準備のみの対応や開示IRの対応といったことであれば、能力を活かせるのですが、資金調達を含む経営管理全般といったポジションだと中々能力を発揮できないことも多いです。
ベンチャー企業にCFOとして転職する場合で資金調達の経験がなく、知見がある方もいない場合は、かなり苦労すると思います。
上場企業のケースでいうと私の印象だと、即戦力として活躍できるのは、連結決算、IFRS導入、新会計基準の導入といった専門性が高い分野です。
一方で、会社のビジネスの理解がより要求される管理会計、個別決算、原価計算といった分野は他の会社で経理経験がある場合は別ですが、いきなり即戦力として活躍するのは、ハードルが高いのではないかと思います。

転職先で受け入れられるためにもまずは自分の能力を発揮しやすい分野でまずは実績を積むという考えも必要です。
採用会計基準が日本基準なのか、米国基準なのか、IFRSなのかも今後のキャリアを考えて有価証券報告書やHPを確認してみておきましょう。
日本基準は、採用企業が最も多いですが、経験人数も多いため、希少性は低いです。IFRSは、今後採用企業も増加傾向にあるため、経験を積んでおけば、事業会社が合わなかった場合でも会計コンサル等への転身が可能です。
米国基準は、日本では採用企業が少ないですが、採用企業は大手企業が多く、米国の外資系等比較的給与水準が高い会社が多いので、悪くないでしょう。

年収については低下する傾向だが、一概にはいえない

監査法人だと20代後半のシニアで700万~800万、30代前半でマネージャーに昇格した場合、1,000万程度になりますが、事業会社の経理だと上記のような年収を出せる会社は、総合商社、マスコミ、金融、外資系企業等一部に限定されます。

一流企業だとやはり年功序列がまだまだ根強く、入社時の社会人経験年数や年齢でバンドが決まっており、会計士の資格を持っていても特別扱いされず、資格手当等もないケースが多いため、給料はその会社の同年代の給料に近くなってしまう傾向にあります。

従って、30歳より前で事業会社に転職すると給料が50万~100万程度は下がる可能性があります。
ただ、その分労働時間も低下傾向にあるので、時間当たり単価でみると大きく減少はしてないケースもあります。
労働時間は、減少して、給与は維持というケースも事業会社への会計士への転職が増え、適正に評価されてきていることから増えてきているように思います。

ただし、年功序列が残っていて、毎年の確実な昇給が期待できる、企業年金制度、住宅手当等の福利厚生がしっかりしている(いつまで維持されるはわかりませんが…)といった良い点もあります。特に年金制度については、大企業の平均の退職金が2,500万円程度です。
監査法人でマネージャーで定年まで勤めても1,000万円程度だったかと思いますので、パートナーになれない場合は、給与が下がっても生涯年収でみると大企業の方が多いというケースもあるかと思います。

事業会社で経理をやってみたいが給与は下げたくないという方は、総合商社、マスコミ、金融、外資等の給与水準が高めの業界への転職を狙うか管理職ポジションでの転職を狙うとよいでしょう。
日本の労働市場においては、給与は業界>業界でのポジション>個人のスキルや役職
の順で決まってしまう面があります。特に経理の場合はその傾向が強いので、給料を重視する場合は、業界選びが大切です。

なお、最近は経理の人材不足もあり、ベンチャー企業等で若手であっても監査法人以上の給与を支払える会社もでてきています。大手企業よりも年齢ではなく、必要とするスキルや経験で判断される傾向が強く、若手であれば、大手企業よりも高い報酬がでるように思います。

ワークライフバランスが悪化する場合も

事業会社の経理部門では、残業時間が多い会社とそうでない会社に別れるように見受けられます。会社の管理体制がしっかりしている会社を転職先として選んだ場合では、繁忙期でもそこまで残業時間が膨らむことはないでしょう。

一方で人手が明らかに足りていない会社や、システムが整備されていない会社などに転職してしまうと、残業時間も膨らんでしまい、監査法人に在籍していた時よりワークライフバランスが悪くなってしまうといったことになってしまいます。

転職によって残業時間を減らしたい方はエージェント等を通して、転職先の業務量や人員体制、前任者が退職した場合はその理由を確認しておいた方が望ましいと言えます。

社風ついても確認しよう

転職して失敗したというケースで日系の大手事業会社に転職した方から聞く話は、社風が合わなかったというケースです。
監査法人はサラリーマンとはいえ、なんだかんだいっても専門職で構成されているので、自由な雰囲気で、現場に行くときは、チームで食事にいくものの、事務所勤務の際は気の合う同僚といったり、少し遠出して長めのランチをとったりといった個人主義的な面があります。
又、出社時間も現場にもよりますが、9時半とかが多く、割と出社時間も緩かったかと思います。
監査法人だけしか経験がないと何かと不満を漏らしがちですが、他の会社に比べると縛りはゆるい組織です。

一方で、歴史のある日系大手企業の中には、朝にチーム全員での朝礼が毎日あったり、昼ご飯は同僚、上司と全員で毎日社食に食べにいったりとチームワークを最重視する風土があり、それになじめなかったという方もいます。
毎日同じメンツで社食で食べたり、朝早く出社して朝礼ということが負担に感じる人もいますので、面接でみなさんお昼はどうしているのですか?等いった軽い感じで確認してみましょう。
監査法人だとフリーアドレスですし、チーム単位で働くため、人間関係が上手くいかない場合はチームを変えてもらうといったこともできますが、事業会社の場合は、席も固定されており、人間関係は監査法人より密接になります。
合わない人がいた場合も、人事異動は、簡単にはできません。
人間関係は監査法人以上に影響が大きいこともあり、面接ではなるべく多くの方と合うようすることをおすすめします。

又、フレックス制度がある場合は、きちんと運用されているか確認しましょう。

私の感覚では、経理部門にもほとんど転職者で構成されている職場とプロバーたたき上げがほとんどという職場の2種類があって、前者の場合は中途ばかりなので、会社に対する帰属意識があまりなく、比較的自由な感じですが、後者で中途が少数派の中途採用になれていない会社に転職した場合は、ギャップを感じるケースもあると思います。

ただ、残念なことにほとんど転職者で構成されている職場は人の入れ替わりが激しいので、中途が多いという面がありますし、中途でほとんど採用しない会社は、労働環境がよく、人が辞めないという面もあるので、一長一短です。
待遇等に比べ、社風は軽視されがちですが、重要な点になります。
面接でよく実態を確認するかエージェントに確認する必要があるでしょう。

ローテーションがあるかどうかも重要

ローテーションは、職種間のローテーションと担当業務のローテーションがあります。

例えば、経理から入って、経営企画に移りたいという方は過去にそのような事例があるのか、どの程度あるのか、どのようなバックグラウンドの方が異動しているのか等を確認しておきましょう。
中には、新卒重視の会社もあるので、中途の扱いについては、他の中途者のキャリアについて確認した方がいいでしょう。
又、大企業で業務が細分化されている場合は、自分が入社した場合は、どのような分担をどのような役割で行うことが期待されているのか、他にどのような業務があり、ローテーションはどの程度の頻度で行われるか確認しておきましょう。

人によっては固定資産管理をずっとやっていたという方もおり、その場合は監査法人に留まるよりも市場価値は低くなってしまいます。
個人のキャリアに対して会社は責任をもってはくれないので、ローテーションがどの程度行われるか、自分が希望する業務を行える可能性どれぐらいか把握しておくことは非常に重要です。

経理部の社内での位置づけ

事業会社の経理部でも社内での位置づけが強い会社、弱い会社があります。

位置づけが強いかどうかは、会社のHPで会社の組織図をみると参考になることが多いです。

一般的に社内での位置づけが強い会社では、経営企画グループと同じグループに入っていたり、隣の部署だったりします。
要は経理部が経営企画等の経営に近い部署と密接に関係する位置づけにあるのか、それとも単に数字を作成する位置づけなのかということです。
又、経理部の業務範囲も会社にとって異なります。
財務諸表の作成と開示の作成までに留まる会社もあれば、そのあとの分析、予算作成、経営層への報告、投資家への説明までを行う会社もあります。
やはり財務諸表の作成のみの場合よりも経営層の報告までを一体として行う方が社内での立ち位置が強い(結果、資料依頼等の仕事もやりやすい)ですし、市場価値も高くなります。
この辺りは、求人表で業務範囲を見るのと、取引があるエージェントに確認する、面接で確認するしかないと思います。

年会費負担やCPEの取得についても留意が必要

また、公認会計士資格の年会費等についても注意する必要があります。

監査法人に勤めていた時では、公認会計士の資格は業務に必須のため、監査法人が当然のように負担してくれました。
しかし、事業会社の経理の場合では会計士の資格は業務に必須ではありませんので、負担してくれない会社も多いです。

年間10万ちょっとですが、必ず面接で確認しておきましょう。

会計士には資格を維持するためのCPE(継続的専門研修制度)があります。
監査法人にいる際は、法人内の研修やイーラーニング等で簡単に必要な単位数を取得でき、それほど単位の取得は負担ではなかったと思いますが、事業会社の経理部門に転職すると確保が想像以上に負担になります。
自分で協会主催の研修に申し込むか、e-ラーニング、書籍の感想文等で単位を取得する必要があります。
なお、監査業務に従事していない場合や名刺に記載していない場合等には減免制度がありますので、そういった制度を使って研修の負担を減らすことも可能です。

転職先の企業内会計士の数や部署についても確認

転職先に企業内会計士が多いかどうかも、転職先の選択の判断材料の一つになりえます。

最近では大手監査法人から事業会社への転職者が多く、監査法人から大手事業会社に転職してみたら会計士が複数人いたということもよく聞きます。

そのような会社は会計士を受け入れることに慣れていますし、扱い方もわかっています。

一方で会計士が多いことで自分の希少価値というのは薄れるというデメリットもあります。

転職の面接時には、社内の公認会計士は何人いるのか、どの部署にいるのか、どのような仕事をしているのか質問をしてみるとよいでしょう。
できれば、その会計士の方に話を聞けるとなおよいでしょう。

どのような会計士が事業会社で評価される傾向にあるか

どのような会計士が事業会社で評価される傾向にあるか会計士専門の転職エージェントの方に聞いたことがあるのですが、一番重要なのが、他部署とのコミュニケーションが取れるかという回答でした。
会計士として採用する場合、事業会社が求める能力は
(1)専門的な会計知識と(2)将来的なマネジメントとしての能力かと思います。
会計士は、専門的な会計知識については、基準に書いてあることだけでなく、その根底にある理論から理解しており、基準にも直接記載のない新しい会計事象のあるべき処理を考える能力において、やはり現場から叩き上げた経理の方よりも優れている方が多いと思います。新しい会社に移っても、会計というベースは変わらないため、その会社特有の知識をインプットすれば、その会社の業務に素早く追いつくことができます。これは、多くの会計士が満たしている条件かと思います。
しかし、マネジメントとしての能力となると少し話が変わってきます。
監査法人では、早ければ2年目から現場主査の業務を担当し、事業会社よりも早いタイミングでロワーマネジメントとしての経験を積む機会があります。
しかし、監査法人は、専門職から構成される組織で一定程度の専門知識を有していることが前提となります。
一方で、事業会社では、多様な方がおり、会計や税務がほとんど分かっていない方もいます。そのような方に対しても、納得感がある形でコミュニケーションができ、スムーズに調整ができる会計士は、上記専門知識がある会計士よりも少なく、重宝されるという話でした。
専門的な会計知識だけの会計士の場合は、その事業会社が専門的な人材を評価する組織で給与体系もしっかりしていればよいですが、専門知識は、非管理職の間のみ重視され、それ以降は、マネジメントスキル、ソフトスキルが重視されるジェネラリスト志向の会社であれば、アップサイドは少ないかもしれません。
短期的な視点だけでなく、その会社がどのような考えをもっているのか、5年後、10年後を見据えて転職活動をすることが重要です。

事業会社経理へ転職する場合のおすすめエージェント

事業会社経理へ転職する場合は、会計士や経理財務領域に特化したエージェントの利用がおすすめです。
なぜなら上記のように経理は専門職なので、転職支援する側も経理の業務内容についての理解が求められます。
又、会計士の転職の支援実績についても、会計士がどのような職場で成功しやすいのか、はたまた失敗しやすいのかといった事例も見てきていることからリクルートやDODAといった大手のエージェントよりも経理財務に特化したエージェントをおすすめします。

その中でも事業会社に強いエージェントという視点で選ぶとよいでしょう。
やはり多くの会計士の転職を支援している実績・ノウハウが蓄積されていますし、企業の経理部と取引があり、実際に訪問もしていることから企業の実態も把握しているからです。

MS-JAPAN

経理財務、人事、法務等の管理部門と公認会計士、税理士等の士業に特化したエージェントです。
会計士の転職支援を多くしており、会計士の業務内容も把握しておりますし、他の会計士がどのような所に転職していて、適正な年収はどれくらいか教えてくれたりと企業内に知見が蓄積されているので、転職先のイメージはまだついていないけど、調査も兼ねて、話を聞いてみたいという方にもおすすめです。

マイナビ会計士

大手エージェントのマイナビが会計士に特化して転職サポートをしており、大手の非公開求人の豊富さと会計士の業務・転職先への理解を兼ね備えたエージェントです。
大手の総合型エージェントだと、会計士専門の方が担当になればよいですが、そうもいかないケースも多く、的外れな求人を紹介されたりということがありますが、会計士専門のエージェントの方がいるので、適切な求人を紹介してもらえます。

事業会社の求人が4割と事業会社の転職を得意としているので、事業会社の経理財務の転職に向いています。

マイナビのプロモーションを含みます

ジャスネットキャリア

公認会計士が創業した人材紹介会社でプロフェッショナルファームやグローバル企業、上場企業、ベンチャー企業などの一般事業会社との取引があります。
相談満足度91.8%と非常に高い満足度を誇っています。
過去にジャスネットキャリアを通じて転職した会計士が経理部長をしている会社との密接な関係があるようで、コネクションがある点が特徴で他で扱っていない企業の非公開求人も扱っています。
転職者を何とか転職させようとするエージェントも多い中、ジャスネットは、生涯サポートを謳っており、じっくりと転職したい方に向いております。

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