大手監査法人の給料、基本給、退職金、福利厚生等についてのまとめ

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大手監査法人(新日本・トーマツ・あずさ・あらた)の基本給、年収、退職金、福利厚生、休暇の取りやすさ等の待遇面をまとめてみました。

公認会計士をこれから目指す人や勉強中の方、就職難で監査法人に入れなかったが、もう1回チャレンジしたい方の参考になれば幸いです。

監査法人の給料は、合格した年度やその年の合格者と採用したい人数の需給により変動します。

大量合格世代といわれる2007年、2008年にはスタッフの初任給は35万程度でした。その後、就職難になり、初任給は28万程度まで下がり、その後会計士受験者数の低迷により人手不足となり、近年は待遇が上がる方向性になっています。

30歳で1,000万円も合格年齢と残業次第ですが、十分届くでしょう。

給料・年収

スタッフ1年目

基本給30万円弱+残業代

賞与4カ月が目安です。
各監査法人の2022年度定期採用 公式HPによると以下の通りとなっています。
大手監査法人で給与面で大差はありません。

金額
EY 月給(首都圏)320,000円 月給(地区)317,000円
トーマツ 320,000円
あずさ 320,000円(首都圏手当10,000含む)
PwC 月給405,740円*

*みなし時間外勤務手当 月30時間分(85,740円)含む
PwCはみなし残業制をとっており、基本給は320,000円と他法人と変わりません。
30時間を超えた時間外勤務については別途手当支給となっております。

監査法人の所定労働時間は1日7時間なので、1カ月7*20=140時間です。

なので、月40時間残業すると残業代は10万円弱になります。

又、当然1年目は夏賞与を満額もらえないので、ざっくり計算すると

夏20万+冬60万程度になります。

従って、1年目の年収は40*9+20+60=440万円程度になります。

ちなみに事業会社は、1日の所定労働時間が8時間のケースが多いのに対して、コンサルティングファームや監査法人は7時間のケースが多く、意外と残業単価等の面でその効果は大きいです。

スタッフ2年目以降

若干(数千円程度)は昇給しますが、シニアに昇格しない限りは大きくは昇給しません。
(PwCの場合は、スタッフ(アソシエイト)間でもライト・ヘビーという職階分けがあるようで、給与差があるようです。)

従って、上記の水準と大きく変化はなく、40*12+60*2=600万円程度になります。

実際、残業時間はもう少し多いので、年収はもう少し上の水準で600万~700万程度でしょうか。

正直2年目にこの水準の給与を出してくれる会社は、大手総合商社やマスコミ、コンサルを除き、あまりないのではないかと思います。また、所定労働時間が短いので、残業単価が高く、私自身、2年目で月給が70万円を超える月もありました。

各監査法人ごとに基本給は、30万程度で新日本(EY)とトーマツ(デロイト)が高く、あずさ(KPMG)は基本給が若干低い(30万を若干下回る程度)分、夏のボーナスが高いという傾向にあります。あらた(PWC)は同様に30万に届かない水準と若干下がりますが、30時間程度のみなし残業制をとっており、残業せずとも30時間分は、受け取れ、超えた部分は、追加の残業をチャージできます。

ボーナスについては、各法人との4カ月が基本ですが、あずさは業績賞与があったり、新日本は東芝の件で業績不振により4カ月未満になっていたり法人により差があります。

シニアスタッフ

試験に合格した年度により異なりますが、シニアスタッフにはおおむね4年程度で昇格します。

基本給は法人によって異なり40万~44万程度のばらつきがありますが、おおむね40万程度としましょう。

従って上記のケースですと残業時間が40時間程度と仮定すると残業代が概ね14万円程度なので、

54*12+160=808万で800万円前後になります。最近はきちんと残業がつけられるようになっているようなので、残業がもっと多い方は、20代で1,000万近い水準も可能です。

スタッフの給与から10万円以上あがり、シニアスタッフになると大きく変わってきます。
シニアのまま定年まで法人に残るというキャリアがあってもいいかと思うのですが、一定の年数以上同じ職位に滞留していると給与が低下してくるという制度がある法人もあり、経営者側としてはそういったキャリアは考えていないようです。

追記

昔は人により昇格時期に1年~2年程度の差がでていましたが、
近年は、一部の法人で人手不足のためか3年程で全員が横並びでエスカレータ式にシニアに昇格するようになっているようです。法人によっては、修了考査合格が要件になっているところもあります。これまでは会計士不足で、一律昇格となっていましたが、今後来るかもしれない不況下でこの流れも変わってくるかと思います。

アシスタントマネージャー

一部の法人でシニアとマネージャーの中間に新たに作られた階層です。

従来のシニアと同程度の給与で1個階層が増えたため、実質的な昇給スピードが落ちたと現場では不満の声もあるようです。
ただ、基本給も高く、残業代も出ることから人によってはよいと思う方もいるようです。
この職階で一定程度残業をすれば1,000万円は超えるでしょう。

マネージャー・シニアマネージャー

早い人で7年程度で昇格します。
昔はもっと早い人もいたようですが、上が詰まっているためか年々昇格がおそくなっているようです。

従って、学生時代に合格し、最短で昇格した場合は、30歳で1,000万を超える報酬を得ることが可能です。

又、業務内容としてジョブの管理や調整業務の比重が大きくなります。

ただし、大手企業のジョブの場合は、マネージャーがプレイヤーとして手を動かして実際の検討をしているケースもあります。

管理職のため、残業代はでませんが、基本的に、月給は58万~65万程度のレンジで、ボーナスは個人評価の比重が大きくなります。

法人により大きく異なってきますが、900万~1,100万が目安で、1000万程が標準的な報酬水準かと思います。

ヘビーシニアで、残業が多い方が昇格するとかえって年収が下がったというぼやきもよく聞きます。監査法人からマネージャーになる前で転職する人が多いのもこれが理由かと思います。
上記の理由からマネージャーになりたくはないという方もいますが、同年齢であればマネージャー経験があると転職の際に有利に働くので、転職を考えている場合、昇格できるのであればした方がいいでしょう。

シニアマネージャーについては、早い人で入社10年程度で昇格し、月給は、72万~80万程度のレンジでボーナスも含めると1,200万程度になります。
評価がよい方は、1,400万円程もらっているようです。

アソシエイトパートナー(ディレクター)・パートナー

アソシエイトパートナー(ディレクター)1,500万円~1800万、早い人で15年度程度で昇進。パートナー(1800万~2000万)、役付パートナー2000万~3000万

未知数の部分はありますが、最低1,500万以上はもらえるとの話を聞きました。従業員ではなく、1回退職し、出資者側となります。

このクラスになると人により大きく異なるので、あまり上記の水準は意味をもたないでしょう。

昔は、監査法人に残ってさえいれば、皆パートナーになれるという夢のような時代もありましたが、今はかなり厳選されており、シニアマネージャーとパートナーの間には大きな隔たりがあります。
聞いた話によると毎年事業部で1名程度しかならないそうです。
最短でマネージャー、シニアマネージャーまで昇進した方でも5,6年後に会ってみるとシニアマネージャーのままだったりすることがままあり、パートナーとそれ以下との壁を感じます。

30歳後半のシニアマネージャーで監査経験しかなく、パートナーへの昇進が難しい方は、他の就職先が内部監査等監査経験が直接活きる職種でないと転職しても給与の大幅ダウンは避けられないでしょう。

退職金

退職一時金と確定給付企業年金、公認会計士企業年金があります。

会計士は、退職金が少ないというイメージとは裏腹に、意外と充実しているなという印象を受けました。

ただし、ひとつひとつの金額はそれほど多くありませんので、あまり期待してはいけません。

どの企業でも同じかと思いますが、退職金は基本給×勤続年数×給付率で計算されます。イメージとしては、退職するときは自己都合が一般的なので、7掛け程度になります。

ちなみに平均的な給付率は、自己都合の場合6割程度、会社都合の場合で7割程度とのことです。

あくまでイメージですが、スタッフで3年でやめた場合は30万×3年×70%=63万前後になります。

スタッフ4年、シニア2年で退職した場合は、30万×3年×70%+40万×2年×70=140万ほどになります。

事業会社は、勤続年数が長くなるほど指数関数的に退職金が伸びていくケースが多いのに対して、監査法人は同じ職位に一定年数以上いるとその職位の退職金が積みあがらなくなる制度があったりします。

そのため、数年で退職するのであれば事業会社とそれほど支給水準は変わらないと思いますが、、長く勤務する場合はパートナーにならない限りは、大きな差がでることになります。

大手企業の平均退職金は2,500万円程度です。

なお、パートナーになると出資者側になるため、一度退職しますが、支給係数が100%になりますし、パートナー退職後また退職金がもらえるため、退職金の金額が大幅にアップします。

なお、公認会計士企業年金のHPにも記載がありますが、公認会計士企業年金は3年以上勤めていないと給付されないので、注意が必要です。

福利厚生

監査法人には事業会社にあるような住宅手当がありません。

その分、基本給に含まれているということです。

又、カフェテリアプランという形で数万円のポイントが付与され、ディズニーのチケットやマッサージ機等の物品、旅行代金に充てることができます。

そのほか、社内にマッサージルームがあり、格安でマッサージを受けることができます。このマッサージルームは疲労がたまった際によく利用しており、使い勝手がよかったです。

又、実務補習所費用、公認会計士協会登録費用・年会費を全額法人で負担してくれます。事業会社の中には負担してくれない会社もあるため、意外と大きいです。

あとは、年に1回無料で健康診断が受けられたりします。

休暇

通常の有給休暇は、1年目は10日間、以後年次ごとに加算され、最大で年間20日間付与されます、それに加え、5日間のリフレッシュ休暇が付与されます。従って、最大で25日の有給休暇が与えられます。

基本的に、四半期ごとにアサイン表が公表され、空いている日はシステム上申請して有給を申請でき、上司の許可等は実質不要です。もちろんアサインが入っている日にどうしても有給をとらなければならない場合は、交渉が必要です。

繁忙期は、有給休暇の行使は難しいと思うのですが、8月・9月や11月等の比較的閑散期は、2週間程度まとまった休みを取り、海外旅行にいくことも可能です。又、退職時には有給休暇を買い取ってくれます。

又、変形労働制という制度が導入されており、繁忙期は所定労働時間が伸びる代わりに閑散期に休みが増えるという状況になっています。変形労働制による休みを除いても年間休日は120日以上あり、上場企業と同様かと思います。

又、監査法人特有の休みとして修了考査の試験休暇があります。修了考査の前に10日間付与され、チームの方も配慮してくれ、有給を追加し、多い方で3週間程度休めます。

事業会社勤務だと時間がなかなか取れないと思いますので、監査法人勤務の方が試験上有利になっています。

オフィス環境

監査法人勤務の会計士は、日中はクライアント先で作業しているケースが多いので、フリーアドレス制が採用されており、スタッフ・シニアスタッフには決まった席がありません。

クライアント先での作業が大半を占めるので、クライアント先の環境に左右されます。交通の便がよいオフィス街にあり、会議室が1室あてがわれていてロッカー等も専用のものがあるクライアントもあれば、タクシーでしかいけないような場所にあり、中々お昼を食べるところが見つからないクライアントもあります。これは運次第といえるでしょう。

繁忙期は、そもそも現場で作業しているのでいいのですが、8月・9月等の閑散期になると事務所勤務の日もあるため、年度によっては、朝少し早めにいかないと席が確保できないというケースもあります。

マネージャー以上にはパーティションで区切られた席が用意され、パートナーの上の方のクラスは個室が与えられます。

総じてオフィスは交通の便がいいこともあり、恵まれているかと思います。

出張

クライアントによりますが、製造業等工場や支社が多いクライアントにアサインされた場合は、多くなります。

きちんと出張手当が支払われますし、一般的なビジネスホテルに泊まることができます。

又、ご当地のグルメを食べることもでき、旅行等が好きな方にはいいかもしれません。

まとめ

あらためてみてみると基本給の高さや休暇の取りやすさ等若手の待遇としては、恵まれていたと思います。私の上の先輩も残業代が多かったためか、20代の段階で1,000万に届いていました。
年次ごとに年収の目安を示すと以下の通りです。
人により飛び級で昇格したり、同期の多さによって昇格する年次は異なりますので、あくまで参考です。

年次 役職 月給 年収
1年目~3年目 スタッフ/アソシエイト 30 450万~650万
4年目~7年目 シニアスタッフ/シニアアソシエイト 40 650万~900万
8年目~11年目 マネージャー 60 900万~1,100万
12年目~14年目 シニアマネージャー 70 1,200万~1,400万
15年目以降 アソシエイトパートナー/ディレクター 80~ 1,500万~

30歳前に1,000万円に到達するのも十分可能かと思います。ただし、福利厚生は給与に入っているという考え方なので、住宅手当や扶養手当はありません。
公認会計士試験を目指したいと考えた方は、公認会計士試験を独学で合格することは難しく、専門学校で専門の対策を行うことが近道です。公認会計士の専門学校の比較は以下記事で行っています。
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大手企業は30後半を超えてくるとマネージャーとしての経験が求められるため、監査経験のみだと対象となる求人数が減ってきますので、パートナーになれないと判断したら早めに決断することも重要です。

監査法人は同世代では待遇がいいですが、あくまで普通のサラリーマンの域を出ません。

もっと稼ぎたい方は、コンサルや投資ファンド、総合商社等の選択肢があります。
現在は会計関連職種の転職市場が経験のある人材の人手不足で給与が上がっていることもあり、監査法人以上の待遇の会社が意外と散見されます。会計系の人材が不足していることもあり、10年以上の公認会計士としての経験があれば、1,000万はボトムといえる状況です。

公認会計士のおすすめの転職エージェントについて下記記事でまとめました。

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