公認会計士が転職するのに最適な年齢・タイミングは?

公認会計士が転職するのに最適なタイミングと時期は? 監査法人

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新卒で周りと同様に監査法人に入社し、修了考査が終わり、公認会計士として登録したタイミングで次のキャリア・転職について考え始める方が多いですが、会計士が転職するのにベストなタイミングはいつなのか、主査を務めてからの方がいいのか、それともマネージャーとしてキャリアを積んでからの方がいいのか色々な考え方があるかと思います。
会計士が転職するタイミングを語る際には、
・何年ぐらい監査を経験したら転職したらよいのか、どれぐらいの職位で転職したらよいのかという意味での辞め時という意味でのタイミング
・1年の中でどの時期に転職すればいいのかという意味でのタイミングがあります。
今回は上記2つの内、転職タイミングについて書きました。

転職タイミングに関する基本的な考え

最近では、監査法人から転職する公認会計士の数は非常に多くなっており、転職した会計士の話を聞き、焦りを感じる監査法人勤務の会計士の方も多いのではないかと思います。
特に最近増えているのは、ベンチャーへのCFOとしての転職で聞く側としては、焦り等感じることもあるのではないでしょうか。

ただ、転職せずとも監査法人で経験できることは多くありますし、自分がどのようなキャリアを歩んでいきたいのか、どのような会計士になりたいのか、どのような専門分野を持ちたいのか等しっかり自身で考えた上で転職を決めることをおすすめします。
話で聞くのは、成功した話ばかりですが、当然その裏には成功話を上回る失敗談もあるわけで、生存者のバイアスがかかっていることもあります。
周りに流されて、イメージで転職して、後から後悔するというケースもあります。

転職して、うまくいかず監査法人に出戻りたい、又は実際に出戻ったという話も耳にします。

年齢ごとに重視する事項が異なる

年齢によって、重視することも違います。
20代であれば、未経験の業務や職種にチャレンジするチャンスもありますが、30代以降になると(報酬を維持したいのであれば)少なくともそれまでの業務を軸にしつつ、関連する領域に範囲を広げていくような形にならざるをえないと思います。
20代のうちは、専門性(スキルの習得)、30代は経験を重視せよとよく言われることもありますが、まさにその通りかと思います。
専門性は、多くの会計士が重視するかと思いますが、だれでも学べば獲得可能な能力で年齢を経る程差別化が難しくなってきます。
専門性は、財務諸表監査、内部統制監査、開示書類作成といった技能、スキルをイメージすればわかりやすいでしょうか。
もちろん専門性を突き詰めて飛びぬけた存在になれれば、よいですが、その領域にまで達成できるのはセンスが必要で極一握りです。
監査法人のパートナーでも専門性一筋で、上り詰めた人というのは、少数派なのではないでしょうか。
そのため、多くの一般人にとっては、上記の技能とは違った経験を30代以降は重視するべきでしょう。
監査法人で経験というと主査の経験やマネジメント経験、特定の業界の経験といったものが当てはまるかと思います。
まず専門性を重視するべきというのは、経験は、だれにでも平等に回ってくるものではないからです。
専門性があり、優秀とみなされる人間に貴重な経験の機会が回ってくる可能性が大きいからです。
専門スキルは上記で述べたようにテキストやネットに書いてあるレベルのことであれば、陳腐化も早いですし、レア度を高めるには相当なセンスと努力がいります。一方で経験は、どの領域にポジションを置くか、意識的にキャリアを考えれば解決できるため、多くの人間にとっては30代以降は経験を重視した方がよいという考えです。
例えば、医療業界で会計監査、事業会社での経営企画の仕事の経験がある会計士でM&Aのサポートを行っている会計士となるとかなり数が絞られてくるかと思います。

続いて、公認会計士が転職するのに適したタイミングは今後のキャリアや現在の業務、現職での経験年数、年齢、他の会計士の需要と供給、業界の景気動向によって変わってくるかと思うのでケースに分けてみていきたいと思います。

会計士は若いうちに転職した方がよいは本当か?

これは、現状の監査法人で積める経験と転職先で積める経験、年収により異なってくると思いますが、若いうちに転職することを勧める風潮があります。

会計士として、採用面で20代後半のシニアであろうと30代のマネージャーだろうと年齢に応じた経験を積んでいる限りにおいては、そのスキルと年収に見合う転職先は見つけることはできるので、積める経験と業務の質と年収が釣り合わなくなったなという時が転職のタイミングなのかなと思います。

又、会計と監査周りの仕事を今後もしていきたいかどうかというのも大きいと思います。
今後も会計、監査周りの仕事をしていきたいのであれば、会計監査経験はコアとなるスキルですし、5,6年は経験を積んでおいた方がよいでしょう。
一方で、監査とは離れたところで働いてみたいと考えているのであれば、若いうちに転職するのもよいでしょう。
未経験の業務に挑戦できるのは、20代かおそくとも30代前半までで、それ以降は専門性を前提として、経験や人脈が鍵になってくるからです。
なお、会計士の転職が若い方がよいといわれているのは、仮に監査法人からの転職を決めているのではあれば、将来の幅が広がるという意味では間違いではないと思いますが、転職が目的になってしまって自分にとってプラスにならない転職をするよりは、転職は運とタイミングが大きいので、じっくりと監査法人で経験をつみながら転職活動をすることをおすすめします。

又、転職が若い方がよいというのは、新しい環境下で下のポジションで入ることができるという面もあると思います。
例えば、事業会社の経理で転職する場合は、経理実務については未経験で入社することになります。この時にいきなり管理職で入社すると、下からもプレッシャーを受けますし、時には上からの政治的な圧力を受けることもあります。

又、管理職で転職するとプレイヤーとしての下積み期間がないため、業界や商流、会社を深く知る時間がありませんし、社内の人脈もないので、成果が思うようにはでないということもあります。

監査法人でマネージャーだと中々転職するときにポジションを下げてということはプライド的に難しいという方もいると思うので、そういった意味では、シニアから管理職手前のポジションで転職するという方法が遠回りのようでいて実は近道になるケースもあります。
上記のような話もキャリアチェンジをするなら若い方がよいという話につながるのかなと思います。

今後のキャリア別の転職タイミング考察

監査は、作業としてみるとスタッフワークの内は非常に単純な作業が多く、潰しがきかない、他の業界に転職した場合に経験が生かせないように見えますが、監査の基本動作は
仮説を立てる→情報収集→検証→判断→ドキュメンテーションという流れでコンサルや事業会社の企画業務にも生かせる汎用性のあるポータブルスキルだと思います。
一方で、ただ単純に手続書に書いてあることをあまり考えずにこなしているだけだったり、海外ファームのマニュアルに沿って監査ツールを埋めていくだけの作業をしていた方は年齢と給与に見合ったスキルが身につかず、市場価値は低くなります。
どうしても今の形式的な手続き重視の流れだと、時間の制限もありますし、後者にリソースが割かれているケースが多く、監査がつまらない、潰しが効かないと焦りを感じる会計士が多い要因なのではないかと思います。

転職のタイミングとしては、これまでの会計・監査の経験が直接活きる職種か、少しこれまでの経験とは離れた職種かによって変わってくると思います。
キャリアチェンジになればなるほど、早いタイミングで転職した方がキャリアのロスは小さくなります。
直接経験が活きる職としては事業会社の経理職やFASのDD,会計コンサル、これまでの経験とは少し外れたところでいうと戦略コンサルや営業等が挙げられます。
私見ですが、これまでの経験が活きる職種であれば、30代でのタイミングでの転職でも問題ないと思いますが、これまでの経験が直接活きない分野に未経験で入るのであれば遅くとも28歳ぐらいまでが望ましいかと思います。
何かを他人の役に立てる最低限の経験を積むには最低でも2年は必要なのではないかということと30代前半で未経験だと体力的にも次に転職をすることを考えた時のキャリア的観点から逆算すると28歳ぐらいなのではないかという感覚です。
ただ、キャリアチェンジする際にも補習所にも通って修了考査には合格して、会計士登録だけはできる状態にはしておいた方がいいと思います。
キャリアチェンジで失敗するケースもあると思うので、失敗した際にも戻れるようにリスクヘッジをしておくためです。
できれば、完全に未経験で入るのではなく、少しだけ領域を「ずらす」転職をした方が年収は維持またはアップしやすいですし、失敗のリカバーもしやすいです。
もちろん20代後半で監査法人に入所する方もいるので、あくまで一般論で杓子定規に当てはめることではないかと思いますが、ご参考まで。

事業会社の経理・財務や経営企画に転職したい会計士

事業会社の経理・財務や経営企画に転職したい方は転職先のキャリアのロールモデルを考える必要があります。

日系大手に転職したい場合

まず日系大手に転職したい方は、業界により異なりますが、入社7,8年で主任、入社10年~12年で課長代理、入社15年以降で課長といったモデルになることが多いです。
例えばですが、監査だけをやってきて、全く経理が未経験の30歳後半の会計士(マネージャー)が面接にやってきてマネージャーで採用してくださいといって採用するでしょうか?

人不足の今、求める経験とスキルがピッタリとマッチすれば、可能性はありますが、大手企業の場合は、よほどしっかりとした実績がある方以外は、中々ハードルが高いのではないでしょうか。

まずはプレイヤーとしての経験を積んでから少し様子をみて管理職にというケースが多く、日系大手の経理財務職として転職したい場合は、30歳前半ぐらいまでが市場でのニーズが高いです。
又、給与水準もその企業の同年齢の層と同じ程度になることが多いです。

そのため、シニアとして数年経験を積んだ後やマネージャーなり立てぐらいのタイミングが転職が多いイメージです。
20代前半や中盤といった若手で日系大手に転職してしまうと会計士としての経験値も少ないですし、若手の内は給与が抑えられているので、給与面でみると下がってしまうでしょう。
一方で若いというだけで武器になる面もあるので、そこは将来得られるものとのバランスになるでしょう。

中堅上場会社に転職したい場合

この場合は、今人手不足で中堅の上場会社であれば、それほどハードルも高くはないので、転職タイミングとしては、あまり問題にならないかと思います。
ただ、歳がいった40代のシニアマネージャーがパートナーになれそうもないと判断して転職活動した等タイミングあまりに遅いタイミングだと、年齢に比較して給与が低くなるケースが多いので、リスクとして意識しておく必要があります。
やはり大手企業とは、給与面で大きな差があるケースが多いです。

ベンチャー企業でIPOに関わりたい場合

ベンチャー企業へ20代、30代前半の若い方がCFOとして転職するケースが増えてきていますが、個人的にはベンチャー企業へ転職する場合は若い又は精神的に若い方がうまくいくと思います。

もちろんベンチャー企業の業種によりますが、ベンチャー企業の経営者は若い方が多く、年齢が近く気が合う方を求める傾向にあります。
もちろん40代で経験豊富な方をアドバイザーとして求めているケースもありますが、その場合も経営者とうまくやっていく精神的な若さが必要でしょう。

経験で言うと、監査法人で3年~5年程勤めていれば問題ないケースが多いです。
ただ、ベンチャーの経理にいくと体制が整備されておらず、自分で構築していくことが求められるため、あまり経験がないうちに手を動かすだけの作業者として転職してしまうと雑用マンとしての経験しか積めないリスクがあります。
自分で課題発見して、解決策の立案をして、実際の実務に落とし込む一連の流れができる力量があれば面白いと思いますよ。

ベンチャー企業のCFOは、規模やその企業のステージにもよって求められる役割やリスクが異なってます。

まだ創立間もなく、バックオフィスの内部統制等が未整備の場合は、経理・財務・税務だけでなく、人事や法務、総務等のバックオフィス全般の色々なことをやらざる負えないケースが多く、どちらかというと特定の分野に特化して強い方よりも自分で専門書等を読んで自分で調べて対応する力や膨大な量をこなす体力と精神力が必要かと思うので、その意味でも若い方がいいでしょう。

一方で、IPO直前でIPO実務経験豊富な方を求めている場合は、少しIPO監査を経験したぐらいではスキル不足で金融機関や証券会社との折衝の場に出るぐらいまでは経験しておいた方がいいでしょう。

経理ではなく、経営企画での転職について

又、事業会社といっても経理ではなく、経営企画職として転職したいという若い会計士の方も見かけます。ただ、経営企画という職種は、会社によって役割が異なります。

経営企画という響きだけで経営戦略を立案して…と憧れを抱く方もいるのではないかと思いますが、会社によっては社内の調整屋だったりとかなり泥臭い部分もある仕事です。

いきなり経営企画として転職するのではなく、まずは自分がバリューを出せそうな経理として転職して、会社のことを理解してから、経営企画に異動するという手もあります。
又、規模が小さい会社の場合は特に当てはまりますが、会社によっては経理が他社で経営企画がやっているような仕事を行っている場合もありますので、面接時やエージェントに実態を確認することが必要ではないかと思います。

投資銀行やファンド、戦略コンサル等別の分野がやりたい会計士

一方で、監査は向いていないのでもうやりたくない、投資銀行やファンド、戦略コンサル等の監査・会計とは別の分野で勝負したいという方は早めに動いた方がいいでしょう。
投資銀行やファンドは若さというのが武器になるからです。
たしかに投資銀行やファンドでも監査経験は多少活きるでしょうが、3年程度の経験があれば十分でそれよりもファイナンス、法務の知識等別の身に着けるべき事項が多いので、別の分野に早く進んだ方がいいと思います。
まず本当に監査法人でやれる可能性はないのか、グループ内でFAS等に転籍する道はないのか等を探した方がいいかと思いますが、そういった道もないのであれば自分のキャリアでどういった転職先があるのか把握するためにもエージェント等を活用して転職活動をしてみた方がいいかと思います。
ただ、監査という分野は会計士の独占業務で他の分野で競争すると他の方と同じ土俵で勝負しなければならないという点には注意が必要です。

会計士の資格はコンサル業務を行う上で一定の信用にはなりますが、最終的にはそれ以外の所で勝負しなければなりません。

勢いで転職する前に認識しておきたいのは、監査は独占業務であり、他のコンサルティング会社とはストレス等の負荷が大きくちがいます。
監査はクライアント側も法令で要求されているし、いまいちなことをいってもしぶしぶではあっても対応してくれますが、コンサルティング会社は高い単価を払っている以上要求水準は非常に高いです。

又、監査法人は会計士試験合格者という限られた中での競争となりますが、コンサルティング会社の場合は他のそれ以上に優秀な方と競争しなければなりません。

業務量も監査法人以上に多くなりますので、体力面、精神面でのタフさが必要です。

監査法人の転職事例にみる転職タイミング

監査法人で勤めていた時の話や周りの話を総合すると以下のような考えを持っています。
10年以内に50%以上が辞め、次の10年で残った人間の50%以上が最終的には監査法人を去ります。
最終的に監査法人の残るのは、同期の2割以下ぐらいになります。
パートナーに昇格できるのは、同期の5%程度であり、それ以外はシニアマネージャーやマネージャーとして監査法人に残ることになります。
ただ、市況によってはずっと同じ職位に滞留しているとリストラのリスクが付きまといます。

監査法人から2年~3年で転職

まずタイミングとしては、少数派ですが、実務要件を満たす2年監査法人で働いたら転職するケースです。
このようなケースは、大学2年や3年で合格して、修了考査も周りの同期よりも早く受かっている優秀層に多く、戦略コンサルや会計コンサル等に転職する方が多いです。
多くの方にと

大手の事業会社に転職する場合は、一部の優良企業を除き、給与が下がることが多く、メリットは大きくはありません。

このタイミングで転職する割合としては、同期入社の1割以下ではないかと思います。
会計士の仕事がつまらないと感じたり、別の分野で活躍したいと思って転職する方が多いです。

監査経験3年半程度で転職

タイミングとして、修了考査が終わったタイミングで主査を経験している方もちらほらいるタイミングになります。
このタイミングでの転職が割合としては多い印象で、転職が多い第一波になります。
20代中盤で会計士登録しており、将来性は高く買われる一方でスキル面ではまだ監査の全体が見えてきたころで足りない方が多いです。
同期で1割~2割程度は、このタイミングで転職することになります。
このタイミングまでに転職するのは、
・元々監査には興味はない方
・実務要件を満たす場と考えている方
等上昇志向や強い方が多い印象です。
転職先もベンチャーの経理マネージャーやより小規模な場合は、役員クラス、コンサル等が多い印象です。

監査経験5年程度で転職ー転職適齢期1

ほとんどの方がシニアに昇格しており、計画から手続実施、意見形成までの監査の流れは1年を通してある程度理解している頃です。年齢としては、20代後半から30歳頃の方が多いでしょうか。
監査の流れをわかっていてある程度スキルもあり、かつ年齢が若いことから将来性もあり、一番スキルと将来性のバランスが取れている時期で転職での引き合いも多い時期です。

業務内容としては、現場の主力選手として、マネージャーの下で手を動かし、調書を量産しているか小規模な会社法クライアントの責任者として、現場を切り盛りしており、忙しい時期です。
また、その一方で、後輩の指導も求められ、ハードワークな時期でもあります。

このタイミングで転職する人は、
・仕事が忙しすぎるので、ワークライフバランスを保つために企業内会計士という道もありなのでは?
・最悪、監査法人に戻っても大丈夫なくらいの経験は積んだし、税務や会計系コンサル等別の業務をやってみたいとという方が多く、3割~4割程度がこのタイミングで監査法人を辞めることになります。大手事業会社の経理やコンサル等転職先はかなりばらけます。

監査経験8年~10年程度で転職ー転職適齢期2

入社して8年から10年程度で次の退職の波がきます。

入社して8年というのは、だいたい同期でマネージャーに上がれるかどうか明確になる頃です。

ストレートに昇格した方を横目にみつつ、もう1年がんばったが、次の年もやはり昇格できず、ショックを受けて辞めていく方もいます。
合格年次によりマネージャーになる難易度もかなり違い、真面目にやっており、標準的な評価であれば昇格できる年もあれば、評価が標準よりもかなり高くないと上がれない年もあります。
独立を目指して税務経験を積むために税理士法人に転職する方やワークライフバランスを求めて事業会社の経理に転職する方もいます。

マネージャに昇格する頃には、金商法監査の主査を務めた経験のある人がほとんどで、チームの5人~10名のマネジメントを担当することになり、マネジメント力も身についております。
又、スキル面でも多くのクライアントに接して他社の事例に触れていることから、企業が欲しがる人材でもあります。
30代前半で大手企業で管理職経験を積んだ方は転職市場に多くはなく、非常に引き合いは強いです。
この頃までに同期の半数以上が別の道に進むことになります。

監査経験 13年以降の転職 

これ以降は、会計・監査から離れたキャリアを目指すのは難易度が非常に上がり、
パートナーを目指すか、それ以外の道を模索することになります。
パートナーになることが難しいと判断した時点で転職する方もいれば、独立をする方もいますし、シニアマネージャーのまま法人に残ることを選択する方もいます。
しかし、監査法人は、共同経営者であるパートナーのための組織であり、監査法人で最終的に目指すキャリアはパートナーになります。
その事実に気が付くのが遅れてしまう方が多いようです。
特にシニア、マネージャー、シニアマネージャーと真面目に法人のためにコツコツ仕事をこなして、順調に標準年次で昇格した方に多い印象です。
監査法人に残っていればパートナーになることができたのは昔の話で今、パートナーになる方は本当に優秀な方しかなれません。
飛び級で昇格するぐらいでないと難しいでしょう。
監査実務の能力があるのは前提として新規業務を獲得する営業能力が高い、専門分野でだれにも負けないスキルをもっている、クライアントリレーションがうまい等の得意分野がないと中々なれないですし、ある程度私生活を犠牲にして法人のために尽くさないとハードルが高いです。
別にパートナーになれなくても首にならなければいいよという方もいますが、今は人手不足ですが、今後環境が変わり、パートナーを目指さずに監査法人に定年までいようという人は、パートナーの側からみるとお荷物と判断され、リストラが行われたときにまっさきに対象になってしまうリスクはあります。
又、監査自体は好きでシニアマネージャーのまま監査をやりたいという方でもシニアマネージャー6年目以降が過ぎてくると段々と担当クライアント数が減ってくると聞きます。
本人は、監査をやりたいとしても、法人も次のパートナーになる可能性がある方に経験を積ませる必要があるので、だんだんとクライアントを剥がされてくるか、採算の悪い小規模なクライアント担当になってくるといった愚痴も聞きます。
そのような状態になってからでは遅いので、自分がパートナーになれそうなのか、なれなかった場合は転職できるスキルセットはあるのはご自分の経験を一度棚卸することをおすすめします。
単に法人から言われた仕事を真面目にやるだけでなく、ある程度の年次から、他で活かせるスキルを積める業務なのか、そのスキルを有する人材の市場価値、将来の見通しといったものを意識して、ある程度業務を取捨選択・重みづけするだけでもいざ自身が上記のような状態に置かれた場合の選択肢を増やすことができます。

35歳転職限界説は本当か

よく転職の際に言われるのが、35歳が転職できる年齢の上限であり、35歳を超えるとよほど能力のある人か運のいい人でないと転職できないという説です。
求人情報を見る限りでは、監査法人でも事業会社でもコンサルでも35歳程度までが転職に有利であることは全体の傾向としては間違いではないかと思います。
これは理由としては大きく2つの理由があると思います。
まず一点は仮に管理職ポジションではない転職をする場合は、使う側からいうと自分より若い部下の方が使いやすいという心理もあります。
監査法人は新人の年齢もバラバラのため、年上の部下という事態も普通にありえたと思うので、そんなこと気にしないのではないかと思うかもしれませんが、世の中には気にする人が結構いるのです。

又、2点目の理由としては、日系の会社の多くは年齢とともに上昇する給与カーブを基本とすることが多く、同じ職種で同じ程度の能力の候補者がいて一方が33歳、もう一方が37歳とすると雇う側からすると若い方を選びたいと思うのが普通です。
年齢が上がる程、転職の要求水準が上がるので、自分は年齢に見合った経験を積んでいるのか終身雇用とは程遠いところで働いている監査法人の会計士は同じスキルなら、より若い方が価値が高いことは認識しておいた方がよいと思います。
自分の1年分の進歩が年齢の増加に負けたことを実感する日が来たらそれは転職を考えてもよい時期なのではないかと思います。
あくまで全体の傾向であり、35歳で監査法人でいうとマネージャーでしっかりと何年か経験を積んだ人であれば、問題なく転職できるのではないかと思います。
一方で、35歳で管理職の経験がない人はそろそろ身の振り方を考えないと厳しいのではないかと思います。

重要なのが全体の転職市況

今転職市況がいいので忘れがちですが、監査法人が2010年頃にリストラを行って監査法人から大量の会計士が転職市場に放出されたときは、監査法人の会計士の市場価値は高いとはいえず、転職に苦労した時代もありました。
今後、そのような時代が再来する可能性は十分にあります。
主査やマネージャー以上の仕事量はさほど変わらないのではないかと思いますが、テクノロジーの進化により末端の監査スタッフがやってきた監査手続に要する人員は減少することが予想されるからです。

監査法人から出るタイミングを図っていると不況期がきて、転職のハードルがあがる可能性もあります。
又、転職時の年収のレンジも今は2~3年前に比べると100万~200万程あがってきている印象です。
少し具体的にベンチャー企業のCFO直下のマネージャーポジションだと2~3年前は600万~700万+ストックオプション程度が相場でしたが、今は800万~1,000万+SOといった形で人が不足しており、報酬が切りあがってきています。
経理の末端のオペレーションができる経理事務員はあふれているのですが、新規の取引やスキームについて会計・税務の観点から検討できる会計のスキルがある方が不足しており、監査法人のマネージャー相当以上の収入を得られる職へ転職をするのは、昔に比べると難易度が下がってきている印象です。

会計士が転職するタイミングについてのまとめ

会計士の活躍領域は広く、上記のように自分がどのようなキャリアを歩んでいきたいのか、どのような会計士になりたいのか、どのような専門分野を持ちたいのか等により最適な転職タイミングは異なってきます。

どこかのタイミングで自分のキャリアについてこれまでの業務の棚卸とどのようなキャリアを積みたいかじっくり時間をとって考えてみるといいでしょう。

ただ、なんとなく監査を続けてきたが、特にやりたいことがあるわけではなく、自分に何ができるんかわからないという方もいるかもしれません。

そんなときは、色々な話を聞いてみるといいでしょう。
周りの監査法人勤務の会計士に聞いてみてもいいですし、今はSNSが発達しているので、会計士の集まりにいってみてもいいでしょう。

又、転職エージェントに話を聞いてみるのもいいでしょう。
会計士専門でやっているエージェントはこれまで多くの会計士の転職を支援した経験があるので、直近の業界の転職動向や転職に失敗してしまったケース等有用な情報をくれることもあります。

転職エージェントを使って情報収集する場合は、以下にご参考までにおすすめの転職エージェントを記載しておきます。

■マイナビ会計士

大手エージェントのマイナビが会計士に特化して転職サポートをしており、大手の求人の豊富さと会計士の業務への理解を兼ね備えたエージェントです。

事業会社の求人と監査法人、会計事務所の求人をバランスよく扱っています。

マイナビのプロモーションを含みます

■MS-JAPAN

結構周りに使っている会計士が多かったエージェントで経理財務等の管理部門と公認会計士等の士業に特化したエージェントです。

MS-JAPANは経理財務や会計士に特化しているためか、他の会計士がどのような所に転職していて、適正な年収はどれくらいか教えてくれたりと企業内に知見が蓄積されている、アドバイザーもしっかりと会計士の業務内容を理解している印象を受けました。

その他、実際に複数のエージェントを使ってみておすすめの転職エージェントを紹介していますので、ご興味がある方はご覧ください。

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