法学部出身者が公認会計士になるのは難しいのか? 

大学

法律の勉強をしたくて法学部に進んだが、簿記や会計に触れてみて公認会計士の仕事に興味が出てきた大学生の方法学部に進んだが弁護士よりも公認会計士を目指してみたくなった方等様々な方がいるかと思います。
法学部の方で弁護士という選択肢を選ばずに公認会計士を目指す方というのはどうなのか、
・公認会計士試験の受験資格の観点
・公認会計士試験の試験科目の有利・不利の観点
・公認会計士試験合格後のキャリアの観点
の3つの観点から見てみました。
又、大学の中で法学部の合格者が多い大学についても触れています。

公認会計士試験受験資格の観点

まずはそもそもの受験資格の観点から見ていきたいと思います。

公認会計士試験は年齢、性別、学歴、国籍を問わず誰でも受験することができますので、大学の学部は全く関係ありません。大学を卒業している必要すらありません。
実際に専門学校卒業の公認会計士の方もいます。

Q.公認会計士試験に受験資格の制限はありますか?
A.受験資格の制限はありません。年齢、学歴、国籍等にかかわらず、どなたでも受験することができます。
公認会計士・監査審査会 公認会計士試験に関するQ&Aより引用

そんなことは当たり前だと思われる方もいるかもしれませんが、受験資格に制限がないのは国家試験としては珍しい方です。
例えば、司法試験を受験するためには、
①法科大学院を修了する又は
②司法試験の予備試験に合格する必要があります。
そのため、ほとんどが法学部
公認会計士試験の受験資格に制限が設けられていないのは、多様なバックグラウンドを持つ人に受験する権利を与えるためです。
商学部、経済学部、経営学部といった定番学部以外からの公認会計士受験も歓迎されているのです。

公認会計士試験の科目の有利・不利の観点

公認会計士試験は、マークシート式の短答式試験(年2回)と記述式の論文式試験から構成されます。

短答式試験は、財務会計論、管理会計論、企業法、監査論の4つの科目で構成されています。

論文試験では、会計学(財務会計論・管理会計論)、監査論、企業法、租税法の4つの必須科目と経営学、経済学、民法、統計学の4つの選択科目の中から1科目選択をして、受験することとなります。

上記の科目をみるとやはり財務会計論、管理会計論、監査論等を学習する機会のある商学部、経済学部、経営学部の方が多少有利になるように思います。
法学部の方が有利になる科目としては、必須科目の企業法と租税法(計算問題以外)と選択科目の民法が挙げられます。
理系の学部の方に比べると企業法、租税法、民法と法学部の方にとって有利になる科目は多く、決して不利な学部とはいえないでしょう。

但し、公認会計士試験の合格のためにはダブルスクールでの学習が主になり、大学の授業が直接役に立つことは期待しない方がいいでしょう。
深く理解するのに時々役にたったり、会計士の学習をしていれば、単位が取りやすかったり程度です。
大原やTACといった公認会計士試験の専門学校の教材をしっかりとこなしていけば、どの学部でも問題なく合格が可能ですので、そこは全く心配する必要がないかと思います。

会計士試験合格後のキャリアの観点

公認会計士試験合格後の観点からみてみると商学部・経済学部・経営学部の方が多くを占めています。
その意味では、定番学部では、特に希少性はないといえます。
一方、法学部で法律を学んでいると監査法人では、直接法律の知識を用いる機会は多くはありませんが、例えばベンチャー企業で経理や人事等のコーポレート部門を管掌するようになると特に会社法の知識は非常に重要になってきます。
又、コンサルで活躍する場合にも、法律にも強い会計士として活躍する可能性が広がります。
私が知っている範囲だと弁護士資格と公認会計士のダブルホルダーのみで構成された弁護士事務所があります。
会計と法律知識を活かした仕事はたくさんありますが、特にM&Aに伴うデューデリジェンス(買取先の企業に問題がないかどうかを事前に確認すること)の分野で引き合いが強いようです。
一般的には、買い手となる企業は弁護士に法務デューデリジェンスを、会計士に財務デューデリジェンスを依頼しますが、依頼に際して企業が用意する買取先企業についての資料は、法務の情報と会計の情報がきっちりと分かれていることは多くはありません。
弁護士側では財務側の情報を正確に理解できる方が少なく、会計士側では法務の情報を正確に理解できる方が少ない傾向にあります。この2つの分野の専門家のコミュニケーションが不足することもあり、それぞれの専門家から法務系には財務系の、財務系には法務系の視点が不十分な2種類の報告書が提出される結果になることも多くあります。

両方を理解している方は希少で価値が高いという面もあります。
このようなポジションを目指すというのも手ではないでしょうか。

なお、監査法人の就活でいうと学部自体は、ほぼ影響しません。
どちらかというと商学部・経済学部よりも法学部や理系学部の方が興味を持たれる可能性があります。

法学部出身の公認会計士試験合格者が多い大学

次に法学部出身の公認会計士試験合格者が多い大学を見ていきましょう。

公認会計士の大学別・学部別合格者は公式には公表されておらず、各大学によって公表しているかどうかが分かれます。
従って、公表されている範囲でしかわかりませんが、法学部の方でも問題なく合格できているといいう点がわかりますし、これから大学受験する方にとっては、多少参考になるのではないかと思います。

慶応義塾大学 法学部

やはり合格者数が大学トップの慶応法学部出身の方が多いです。
最近は商学部や経済学部ではなく、法学部の方で会計士試験を受験する方も増加しているとの話でした。
ただ、学部別の合格者数は、出していないので、詳細な数は不明です。

中央大学 法学部

年度法学部合計
20175名60名
20185名70名
20197名48名

中央大学の合格者数は上記の通りとなっています。
中央大学の法学部の方もよく見かけるなと思ったのですが、合格者の数自体はそれほど多くはないようです。
やはり中央大学法学部に行く方は初めから弁護士を目指す方が多いのでしょうか。
なお、商学部ではなく、法学部でも経理研究所に所属できるようで、サポートは充実しているので、法学部の方であっても会計士を目指しやすい環境でしょう。

日本大学 法学部

日本大学の法学部には、公認会計士科研究室があり毎年合格者を出しています。

年度法学部内、会計科研究室
20163名2名
20176名2名
201810名5名

特に2018年は、10名もの合格者を出しており、中央法学部よりも合格者数が多くなっています。

まとめ

これまで公認会計士試験の受験資格の観点、試験科目の有利・不利の観点、試験合格後のキャリアの観点から記載してきましたが、法学部の方が公認会計士を目指すのに不利な点はありません。
むしろ法律と会計の知識両方を持っている点で仕事によっては、商学部や経済学部よりも有利に働く可能性もあります。
会計士の仕事や働き方に興味を持った方は、目指して問題がないのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました