公認会計士試験 大学別合格者数の比較 会計士に学歴は必要か?

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これから大学に入学する方やこれから会計士を目指そうと考えている方の中には、公認会計士になりやすい大学はあるのか、学歴が必要なのか気になる方もいるでしょう。
公認会計士試験の大学別合格者数をみることで会計士試験に受かりやすい大学はあるのか、又各大学ごとにどのようなサポート体制があるのか、会計士になるのに学歴は必要なのかを見ていきたいと思います。

公認会計士試験大学別合格者数ランキング

まず、公認会計士試験大学別合格者数のランキングを見ていきましょう。

 

※データは、公認会計士三田会合格者数資料及び各大学HPより作成
実は、公式に会計士試験合格者を大学別に集計した資料というのはなく、各大学が独自に集計しています。そのため、各大学によって結果が違うものもあります。
上位10以下の大学については、公表がないものもあるため、可能な限り各大学のHPより公表しているものを記載しています。
公認会計士試験の大学別合格者数ランキングを見てみますと、毎年、常連校が上位に顔を出しています。
上記10大学の合計でおよそ5割を占めます。

常連校としては、45年連続で最多合格者を輩出している慶應義塾大学、次いで早稲田大学が不動のツートップで明治大学・中央大学が続き、そして、東大、京大、神戸、一橋等国立大学が続きます。
特に慶応義塾大学の合格者数は他校を圧倒する合格者数を出しております。
近年は、慶応の合格者に占める割合は、1割を超えており、2位の早稲田を合わせると実に2割以上が早慶出身で占められています。

続いて合格者数が多い大学について個別にみていきましょう。

慶應義塾大学

※占有率は、合格者数に占める割合
公認会計士三田会という慶応卒の会計士5000人以上で構成された組織があり、大学別の合格者数もこの組織が公表しています。
他大学の公表数も大学によっては、把握していないか出所が三田会資料よりとい記載してあることもあります。
これほどまでに慶応の合格者数が多いのは、付属高校からの内部進学者が多いこと点が理由の一つとして挙げられるかと思います。
やはり、大学受験をしていないため、受験疲れしておらず、他の大学生に比べて余力があり、大学受験の代わりに1回難易度が高いことに挑戦したいという方もいます。
中には、高校生の内から勉強をして、大学1年や2年の内に合格する方もいます。
又、OBの方も多いため、現役会計士の話を聞く機会も多く、目指しやすい環境にあるという点もあるかと思います。
在学中に実際に合格した先輩たちも多く、相談もしやすく、タテの繋がりも広げられるようです。
大学のサポートとしては、商学部には、会計研究室があります。
会計研究室は、会計士を目指す方に対してさまざまな啓蒙的イベントを企画・実施しており、公認会計士制度説明会、講演会・シンポジウム、監査法人見学会、税理士法人説明会等のイベントに参加することができます。

早稲田大学


近年は、公認会計士合格者数2位をキープしています。
一時期は、慶応に合格者数で迫りましたが、今は差がついております。
早稲田大学商学部では早稲田大学公認会計講座(WUCPA)という講座が存在し、初学者でも日商簿記検定1・2・3級の指導を受けることが出来ます
早稲田大学も縦とのつながりがあり、受験対策の講座も開かれているので
公認会計士試験受験生が勉強しやすい環境が整っています。

明治大学

グラフをみていただくとわかるように、近年合格者数で存在感を出しているのが明治大学です。
明治大学でも公認会計士試験の対策のための講座が「経理研究所」によって開かれています。
簿記3級から1級までの勉強が可能な講座が提供されており、1級の学力がある人は、会計士本科クラス(提携専門学校で開講)へ進むことができます。
専用の机と椅子が与えられた自習室があったりとサポート体制も充実しています。
又、明治大学の公認会計士現役合格生には報奨金が与えられるようです。
2016年のものだと以下のような内容になっているようです。
合格前の優秀者に対する奨学金と現役合格時の報奨金で構成されており、
場合によっては、ダブルスクールのお金の多くを賄える場合もありそうです。
①合格奨励奨学金:駿河台 入室試験の上位者に計 3~10万円 を給付
②現役合格報奨金:在学中に合格した室員に10~ 50万円を給付

年度 現役 卒業 現役率
2016 41 13 54 75.9%
2017 42 11 53 79.2%
2018 49 11 60 81.7%
2019 42 5 47 89.4%

上記のように明治大学の合格者を見ると学生の現役合格の比率が9割近くなっています。
普通の人でも正しく努力すれば、かなりの割合が合格できるという一例ではないでしょうか。

中央大学


手厚いサポートが受けられ、金銭面で学生に優しい公認会計士試験対策ができるのが中央大学です。一時期に比べると勢いが落ちており、合格者数でも明治に逆転されてしまいました。
経理研究所という学内Wスクールを中心に多くのサポートを行っています。
受講料は一般の予備校等の半額以下で、経理研究所出身のOB公認会計士が現役学生の受験指導を行っています。
中央大学内にあるため通学時間ゼロで大学からの補助により受講料は予備校等の約半額(45万程)、それでいて授業時間数は1.5 倍から2 倍多く、全員中央大学OB・経理研究所OBの公認会計士が懇切丁寧に分かるまで教えてくれます。
生徒の個別指導や、先輩が24時間オンラインで質問に答えるサービス等もあり、かなり充実しています。
OBが多いということは、公認会計士試験に合格した後も監査法人への就職等にかなり有利に働きます。
さらに、勉強に集中しやすい施設が整っている点も魅力と言えるでしょう。
約300席の個人研究室には、選抜試験の成績順に個人机と個人ロッカーを無料貸出する勉強室があります。個別に仕切りがあり、集中できる環境になっています。

中央大学の合格者をみると経理研の合格者が大半となっています。
又、現役合格率は7割にもなります。

東京大学

※2014年は、上位10以下のため、データなし。
東大は、特に学生に対して公認会計士試験合格のためのサポートはしていないかと思いますが、
やはり学生の質が他大学よりも高いのでしょう。合格者数は上位となっています。
又、2010年から2012年の就職難を受けて東大生の会計士受験離れが進みましたが、近年の就職状況の回復を受けて、戻ってきている感じがします。

東大には、KSGという公認会計士に短期で合格するための資格サークルがあります。

立命館大学

立命館大学には公認会計士試験受験生専用自習室が存在します。
選抜試験がありますが、自習室では1人1台パーティションで区切られた専用の勉強机が与えられるそうです。
その中にはパソコンルームも設置されているそうで、公認会計士試験対策を厚くサポートしてくれます。
また、大学として講演会や監査法人見学会などの催しも行っていて公認会計士試験に対して様々な対策を起こっています。

立命館大学ではエクステンションセンター特別奨励生制度という制度があります。
選抜試験で優秀な成績をおさめると、奨励金の補助が受けられるそうです。

公認会計士に合格に有利な大学はあるのか

上記結果から、公認会計士合格に有利な大学はあるかと言われればあると思います。
高校生の段階から公認会計士になると決めている場合は、有利な大学を選ぶのも手でしょう。
有利な大学としては、大学内で公認会計士試験対策を行っている機関や制度を持った中央大学や明治大学等が挙げられます。
又、合格後のOBが多いということでいえば、慶応や早稲田がいいでしょう。
ただ、公認会計士試験に合格するだけであれば、上記以外の大学でも基本的には大原やTACといったダブルスクールで対策をするため、どのような大学でもやる気さえあれば合格は可能です。
上記10大学で合格者の5割を占めますが、逆にいえば、あと5割は上記で挙げたランキングに掲載されていない大学の合格者ということです。
公認会計士試験は、理解そのものが難しい問題が出ることは基本的にはなく、繰り返し学習することで対策が可能です。
やる気さえあれば、期間の違いはあるにしろ、合格はどの大学でも可能かと思います。

もしこれから大学を決めるという方がいたら、学歴というのは、いい悪いは別にして、現実問題として一生ついて回るものですので公認会計士に合格しやすい大学という点のみにとらわれるのではなく、難易度、学ぶ内容、将来目指したい姿等総合的に検討すべきでしょう。
大学受験に失敗したという方も、公認会計士に合格したら公認会計士という同じ土俵で勝負ができます。一発逆転を目指すのもいいでしょう。
学部については、会計士試験に直接役に立つというよりも会計士試験が関係する商学部や経営学部、経済学部であれば、単位が取りやすい、理解が深まりやすいというのはあるかと思います。
しかし、決定的な要素ではありません。
合格のために必要な知識は、専門学校で学習すれば全く問題ありません。
むしろ、商学部・経済学部よりも工学部といった会計士が少ない理系学部の方が、合格後は希少性が出る可能性があります。

合格後に学歴は影響するのか

公認会計士試験合格後、学歴は影響するかどうかですが、YesかNoかで言えば全く影響しないというのはいいすぎでしょう。
ただ、一般企業にサラリーマンとして勤務する場合と比較すると影響する度合は極めて低くなります。

組織で働く以上、OBが多い方が監査法人の出世においては有利な面は多少はありますし、クライアントによっては、ある一定以上の大学でないとアサインがされないといった話もあります。
アドバイザリー部門でマネジャー以上だと提案書に経歴が記載され、学歴が記載されることもあります。学歴によってチャンスが広がることもあります。
又、監査法人の就職難の時代には、やはり学歴があるかどうかが、監査法人から内定を得られたかどうかを分けたという面もあります。
全員が監査法人に入れる時代ならさほど必要ありませんが、あった方がよいのは間違いないでしょう。
足の裏の米粒なんて言われることもありますが、学歴はあるに越したことはありません。
ただ、一般企業に就職する方に比べると監査法人への就活時には、学歴フィルターといったものは基本的にはありませんし、影響はかなり小さくなります。
なぜなら、通常の就活においては、面接だけでその人がどの程度優秀か見抜くことは難しく、学歴がその人が過去どの程度努力をしたのか、一定の能力があるのか示す指標になりますが、監査法人の就活においては、会計士試験に合格していることで一定の水準をクリアしていることがわかるからです。
監査法人で経験を積んでフリーで働くようになると更に影響は小さくなります。
学歴よりもその後の職歴、積んだ経験、提供できる業務が重要になってきます。
そのため、大学受験で失敗してしまった方にとっては、公認会計士試験に通れば、一発逆転も可能なので、公認会計士試験の勉強は投資効果が非常に高いでしょう。

まとめ

以上、合格しやすい大学を特徴を挙げて述べてきましたが、現状の公認会計士試験はやる気さえあれば、合格可能な試験です。
旧試験の頃は、試験委員の趣味に近いような難問・奇問もあり、運が左右する要素も多かったようですが、現在の試験は、正しく努力を積み重ねれば、凡人でも合格可能性をかなりの程度まで高めることができます。
又、合格後は、一般企業にそのまま就職するよりも格段に選択肢が拡がりますし、勉強は大変ですが、目指して損はない国家資格であるといえるでしょう。

下記記事で、公認会計士試験の専門学校について比較をしています。

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