【FASへの転職】会計士が監査法人からFASへ転職するには?

FASへの転職 FAS

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監査法人で監査業務を5,6年経験すると一通り監査のことが分かってきて次のステップを探す会計士も多いかと思います。

監査法人からの転職先で最近多いのはBig4系のFASへの転職です。

M&Aが活発化しており、FASでの採用意欲も高く、監査法人勤務の会計士を高い年収で積極的に採用しています。

監査法人からの転職で今までの経験を活かしつつ、年収を上げられ、次の選択肢も広げられる転職先として知り合いにも転職している方が多くいます。
今の若手はM&Aの仕事をやってみたいという方が多い印象で、人気が高まっています。

FASってどんな業務をやる会社?

FASとはFinancial Advisory Serviceの略称でM&Aアドバイザリーやデューデリジェンス、企業価値の評価、企業再生・再編の支援等をサポートするフィナンシャルアドバイザリーを提供する会社です。

Big4系でいうと新日本系列のEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング、トーマツ系列の
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、あずさ系列のKPMG FAS、あらた系列のPwCアドバイザリー合同会社があります。

主な仕事内容としては、トランザクションサービス(TS)、バリュエーション(企業価値評価)、M&Aアドバイザリー、企業再生、再編コンサルティング、リストラクチャリングといった職種があります。監査を経験した会計士としては、監査と近いDDをはじめはやるケースが多いように思います。

M&Aの流れ

M&Aの流れ

M&Aの流れを簡単に図にしてみました。どの部署がどのプロセスを行っているかを把握すると理解しやすいでしょう。

トランザクションサービス(TS)

財務デューデリジェンス(DD)

DDといっても財務から人事、IT、法務、税務と多岐にわたりますが、上記の流れでいうと③の財務領域に該当します。
M&Aや組織再編を行う際に、対象会社の主に財政状態、経営成績、資金繰りなどの財務状態について調査し、不正な取引や経理処理がないか等を調査するのが財務デューデリジェンス(DD)になります。
流れとしては、まず基礎資料の入手、案件概要の把握、ミーティング、調査範囲のすり合わせをして調査範囲や手続きを決定します。
資料の依頼をして資料をレビュー・分析して質問等の手続きをしてM&A取引案件の評価や投資意思決定に資する情報の提供に資する報告書を作成するというのが基本的な流れです。

上記の流れをみてもお分かりのように目的が違うだけで監査と基本的に必要な動作は大きくは変わりません。
監査は一般に公正妥当と認められた監査手続きを行い、適正性に対する意見を表明しますが、DDは、利用者に依頼された合意した手続きを行い、情報を積み上げ、経営層に依頼された手続で発見した事項をレポートします。

財務DDのイメージとしては年間の監査でやる内容の内、一部を2,3週間という非常に短いスパンで買収後の経営にインパクトのある情報をピックアップしてパワポにまとめる仕事になります。
DD業務がBig4系のFASでは多くの割合を占めます。
監査業務のみの経験で転職する場合、業務についていけるか不安に感じる会計士の方も多いですが、DDですと転職後も違和感なく取り組めるかと思います。
ただ、やることは監査手続と似通っており親和性もあるのですが、監査とDDでは目的とそれを達成するための手続きに差異があるので、監査経験に縛られすぎるとうまくいかないこともあります。
大きな違いとしては、監査は法定で求められているもので、手続きもマニュアル化されており、だれが行っても大きな差はでません。
一方、財務DDは、調査にかけられる時間に制約がある中で行いますので、古スコープで行っていては、時間が足りなくなってしまいます。そのため、アドバイザーの判断次第で行うオーダーメイド調査の性格が強くなります。
監査で必要な手続きや会計基準との整合性にとらわれすぎても目的から遠ざかってしまい、成果物も勘定の内訳が中心といった本来DDにあまり重要でないものになってしまう方もいるので、注意が必要です。

会計ストラクチャー助言業務

上記でいうと④のストラクチャーの決定を支援する業務です。
会計、税務その他の観点からどういったストラクチャーが最適か助言する業務です。
組織再編税制の税制適格要件を満たしているかや繰越欠損金が使えるか等会計士にも活躍できる領域はあるかと思います。

カーブアウト財務諸表作成支援等の売却支援業務

カーブアウト財務諸表とは、事業の売却・分離・その他の組織再編時において、売却側の企業から分離された子会社、事業部門事業に係る個別財務諸表を指し、その作成支援をする業務です。ここも会計士の得意分野かと思います。

バリュエーション(企業価値評価)

上記でいうと④のバリュエーションに該当します。
M&A、事業再編等を行う際に顧客企業のニーズに合わせた、価値評価サービスを提供する職種です。
上記の財務DDの違いを簡単にいうと財務DDが買収対象会社の過去から現在までの財務分析を主に行うのに対し、Valuationは将来のキャッシュフロー計画から価値を導き出します。
会計監査では将来の見積もりを扱いはするものの、監査法人勤務のみの会計士は将来の予測には弱い方が多いように思いますので、財務DDに比べるとキャリアチェンジになります。
そのような意味で最初は財務DDに関わって、それからバリュエーションにも領域を広げるというキャリアが多いように思います。

価値評価といっても様々な分野があり、ビジネスバリュエーション(企業価値評価)やPPAに使用する無形資産の価値評価や債権、デリバティブ、種類株式の価値評価、減損に関する価値評価等多岐に渡ります。

フィナンシャルアドバイザリー

上記でいうと①~⑥までのM&Aの戦略策定から統合後のサポートまで担うM&Aアドバイザリーサービスを総合的に提供する部署になります。
法人によっては、Corporate Financial Advisory(CF)という部署名になっています。

競合である投資銀行等も同様の業務を行っていますが、投資銀行と比べると投資銀行が手を出さない中小型の案件が多くなります。
CPAやUSCPAの資格は必須ではなく、会計よりもファイナンスの知識や経験の比重が高まり、非会計士の割合がDDに比べると高くなります。

PMI

PMIは買収後の統合業務で会社の戦略やオペレーション、システムなどの統合を行うため、エリアが多岐に渡りますが、こちらは法人によって取り扱いが異なります。上記でいうと⑥にあたります。
PMIをビジネスDDなどと一緒の部門に配置して主要なサービスとして展開している会社もあれば、一部をTSで手がけるものの、本格的なPMIはグループのコンサルティング会社に任せてしまう会社もあります。
従来FASでは、あまり扱っていなかった領域で戦略系ファーム、総合系ファームで扱っていた領域になりますが、M&Aのプレ(M&A戦略立案等)とポスト(PMI等)の領域を、FAS内でカバーするようになってきており、FASの業務領域が広がってきています。

フォレンジック

他のチームとちょっと毛色が違い、企業の不正調査を行う部署です。
FASのM&A部門の方は、監査法人に比べると戦闘民族サイヤ人(詰めたりする血気盛んな人)のような人種の割合が高いように思いますが、フォレンジックの方は、比較的落ち着いており、監査法人に近い雰囲気のように思います。
近年、需要が旺盛で成長している領域です。

公認会計士のフォレンジック分野の転職
公認会計士の転職先として、日本ではまだ多くはないですが、フォレンジックをやりたいという方も増えてきています。 今回は、フォレンジック業務の魅力、会計士のフォレンジック分野への転職、必要なスキルや経験、フォレンジック分野を扱っている会社があるのかについて紹介します。

リストラクチャリング

こちらも上記M&A関連の部署とは毛並みが異なりますが、業績不振や資金不足に陥った会社向けに、業績改善、財務再構築、資産売却、事業再編等のアドバイザリー業務を行う部署です。
再生や再編に向けて上記財務DD業務に加え、ビジネスDDなども行います。
リストラクチャリング業務を扱う部署では、その性質上、破産や民事再生などを利用することもあり、日本の法律に触れる機会も多いことが特徴です。
案件も国内企業の再生や再編が多いことから、英語を使うことはそれ程多くはありません

年収はどれくらい?Big4系と独立系の違いは?

大手監査法人系FAS

大手FASは、監査法人よりも約100万程高い水準です。
ただ、監査法人よりもボーナス比重が高く、人による差が大きく、普通の評価であれば、残業が多いこともあり、時給ベースでは監査法人と同じかやや落ちるぐらいです。
20代後半であれば700万~900万でしょう。

アナリスト、シニアアナリスト、ヴァイスプレジデントといった監査法人と同じような職位があります。
監査法人と違う点は、マネージャー以下でも裁量労働制が適用されているケースが多く、残業代は深夜残業代と休日の残業代以外がでない点です。
アナリストとシニアアナリストは深夜残業と休日手当はつけることができるが、監査法人と同様案件により適切にチャージできるか変わってきます。

職位 年収
スタッフ/アソシエイト 500~800万円
シニアスタッフ/シニアアソシエイト 800~1,100万円
ヴァイスプレジデント 1,200~1,600万円
シニアヴァイスプレジデント 1,500~2000万円
ディレクター 1,800万円~

年棒+ボーナスという報酬体系となっており、
アナリストの場合は500~700万円程度(ベース500万+業績ボーナス100万~300万)
シニアアナリストの場合は800万~1,100万(ベース700万~900万+ボーナス100万~400万)
ヴァイスプレジデント(VP)の場合は1,200~1,600万(ベース1,000万+ボーナス0~600万)

といった形となっており、監査法人に比べると業績ボーナスが大きくなっています。

監査は、景気により監査報酬が上下はしますが、上場企業であれば必ず必要なものですので、安定感がありますが、M&Aは景気動向により強く左右され、業績及び給与のボラティリティが高いといえます。

中途の場合は前職の年収を参考に決定され、同じ役職でも前職によって給与は変動しますので、なるべく高い給与で入社することが必要です。

昇格以外に年齢による定期昇給等はあまり聞きかず、ベース給与はランクが上がるまで原則変わらないと思った方がいいでしょう。

スタッフレベルでは、賞与の金額は大きくなく、ヴァイスプレジデント以上になると賞与の金額が大きくなる。監査法人も同様だが、それ以上に成果主義で振れ幅が大きくなります。

監査法人と比べると裁量労働手当がある分全体的に高いが、それ以上に残業時間が多く、労働時間が長いという点は注意が必要で時給換算してしまうと監査法人の方が高いケースもあります。時給という観点でみるとアナリスト(スタッフ)クラスの場合はやや下がるケースも多いでしょう。
実際に転職口コミサイトで残業時間を調べてみると以下のようになっており、ワークライフバランスはあまり期待できないでしょう。

社名 残業時間
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング 60時間程度
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 70時間程度
KPMG FAS、 70時間程度
PwCアドバイザリー合同会社 70時間程度

大手監査法人の残業時間は40時間~50時間程度が平均程度なので、1日1時間程度の残業は増加することが予想されます。DDは監査と違い、短時間で仕上げることが要求され、買収を買収元の従業員に知られないように土日に作業することがあり、休日出勤は多くなってしまいます。
部署によっても忙しさは異なり、事業再生>FA>バリュエーション>財務DDの順で激務という印象です。
事業再生は、地方のクライアントを相手にすることも多く、地方出張や場合によっては常駐も多くなるので、人によってはストレスがたまるかもしれません。

Big4の報酬は同業他社の報酬水準を意識して、設定しており、大きな差はありませんが、みなし残業時間等の差から給与が高い順でEY>KPMG>PWC>デロイトがざっくりとしたイメージです。
とはいえ、さほど大きな差はありませんし、給与制度の改定を頻繁に行う業界なので、順位の変動は起こりえます。

FASに行った方の話を聞くと業務は監査法人以上に競争は厳しく休日出勤は多いが、評価が良ければシニアスタッフクラスでも1,000万以上、業績がよく評価もよければ1,200万円程に届くようです。
監査法人よりはボーナスの差が多く、評価により報酬に差がでることが特徴です。
又、どのBig4の系列かにより監査法人との力関係がことなってきます。
例えば、部署によるのかもしれませんが、EYだと監査法人の力が比較的強く、デロイトだと非監査が強いため、FASの立場も強いといった話も聞きます。

監査法人とは、監査先で買収が行われた場合にバリュエーションの評価結果のレビューをグループ会社のFASが行う際に関わってきます。

Big4系の特徴
メリット:DD、バリュエーションと業務ごとに縦割りで部門が分かれており、一つの業務に特化して経験が積める
クロスボーダー取引や新聞に載るような大きな案件に関われる、フォーマット等のノウハウが蓄積されている、正当なやり方を経験できるというメリットがあります。
デメリット:縦割りで分かれているため、専門性は高められるが、M&A全体を見る経験を積みにくいというデメリットがあります。

独立系・中堅FAS

中堅のFASも大手監査法人と同程度の水準が一般的です。
20代後半であれば600万~800万程でしょう。
独立系M&Aアドバイザリーの有名な会社としては以下が挙げられ、FASを別会社としているケースもあります。
・フロンティア・マネジメント
・アライアンスパートナーズ
・コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング
・GCAサヴィアン
・山田ビジネスコンサルティング
・アタックスビジネスコンサルティング
・日本M&Aセンター
GCAサヴィアン、日本M&Aセンターについては平均年収がそれぞれ2,000万、1,400万程度であり、成果主義でありますが、Big4系のFASよりも高い報酬が得られる可能性があります。

又、独立系ではFAS業務(デューデリジェンス以外にもバリュエーションやFAなど)と同時に会計アドバイザリー(IPO支援やSOX対応、連結決算支援、IFRS対応など)も含めた幅広いサービスを展開している場合もあり、その場合は様々なキャリアを積めることが魅力です。
その他、10名程度のFASであっても年収は大手監査法人と同程度であることが多く、そういった小規模のブティック型のFASを探す場合は、FASに強い転職エージェントを使うことをおすすめします。

独立系の特徴としては、Big4系とは違い、部門が分かれていないため、ひとつの分野を極めるということは難しいですが、一気通貫したM&Aの経験を積めるという特徴があります。

FASに転職するにはどういった経験が要求される?

監査経験があれば土俵には乗れますが、監査法人の求人市況と株式市況と連動するのが特徴です。

監査法人が人余りであれば、監査法人のグループ内での異動で対応できるので、FASへの転職のハードルも上がりますが、人不足であればグループ内異動といったことも難しくなるため、転職のハードルが下がります。

Big4であれば、クロスボーダー案件もあるため、英語力があると好ましく、体力がいる仕事のため、未経験であれば遅くとも30歳程度までの若手層求められています。
周囲では監査を5,6年程経験した20代後半で転職するケースが多くなっています。
FASへの転職のハードルが上がる局面では若手ということに加えて、英語力やDD等の監査以外の経験といったプラスアルファが要求されます。
監査法人からFASに転じる方が多いですが、FASに監査経験が活きる理由としては、
監査を通じて基準の文面だけでなく、会計の実務上の処理を知っている点と
会社の内部資料を日頃から見ていることから経理処理な帳票の中身を知っているため、初見の会社であっても会社の担当との話についていくのが早かったり、会社の理解が速い点が挙げられます。

トランザクションサービス(TS)の場合

求められる経験としては、FAS経験、監査法人における監査実務経験者や事業会社における経理や会計財務、経営企画部門での実務経験者等で監査法人でシニアだった方はシニアとして採用される傾向にあります。
ただ、法人によっては、監査だけでDD未経験の場合は一つランクが下がることもあるようです。
上記のようにDDは監査と似通った手続きが多く、監査経験が最も活きる領域です。
法人によっては、監査法人内にDD部隊がいる法人もあります。

監査法人勤務の会計士が採用されるには、当然ながらDD経験があった方が好ましく、監査法人でもDD等の経験を積める部署がありますので、監査以外の経験を積める機会があれば積極的に声をあげた方がいいでしょう。
私の知り合いでは部署を超えて、監査業務が終わった後DDのサポートに行っている方がいました。納期が短く徹夜等もあるといっていましたので、体力は必要な業務です。

チームで会議室にこもってひたすらパワポを作っていました。

監査法人勤務の監査経験のみの会計士が採用されるのは、マーケット次第という面がありますが、30歳程度までで30歳以降では英語ができたり、監査法人でDDの経験があるといったプラスアルファが必要になります。
又、30代前半で監査法人で監査経験のみのマネージャー職の場合はFAS業務は未経験なので、一旦職位が下がっての採用となってしまうケースがほとんどかと思います
近年は国内企業の海外企業買収が増えており、クロスボーダー案件に対応できる人材は重宝されます。

30歳を超えている方は中小監査法人ではDDの経験を積めるケースが多く一旦中小でFASの経験を積んでからBig4系のFASに転職するという方法もあります。

バリュエーション(企業価値評価)の場合

どういった経験が求められるかというと投資銀行や事業会社の経営企画部等でのM&Aにおけるバリュエーションの経験やコーポレイトファイナンス系、調査会社や証券会社、投資ファンド等で資本市場系の部門の経験、戦略コンサルで企業・産業等の分析業務を行っていたような経験が求められます。
又、監査経験のある会計士やDD経験のある会計士も対象となりますが、財務デューデリジェンスに比べると監査とは違う部分が多く、ファイナンス理論等はキャッチアップしなければなりません。

FASに転職したい場合はDDのアサインに積極的に手を上げたり、企業結合系の科目を担当したい旨主張したりするといいでしょう。

監査法人はやる気を見せれば、意外と意見を汲んでくれます。

FASのクライアントは上場企業が多く、DDレポートを作成するだけでなく、会計・税務処理やその後の開示まで理解している方がクライアントにありがたれます。

FASで英語力は必要か

部署により異なります。
トランザクションサービス(TS)やバリュエーション、フィナンシャルアドバイザリーサービスを扱う部署では、日本企業による海外企業の買収が増えて来ていることから、英語の必要性が非常に高いでしょう。自社の海外事務所だったり、海外の買収ターゲットの会社の人だったりと、英語でのコミュニケーションが必要な場面が多くあり、英語ができないと関われる案件が限定されてしまいます。
又、フォレンジックでも同様に海外事務所や不正調査で必要な場面は多いです。
一方、リストラクチャリングでは、比較的国内企業の再生や再編が多いことから、英語を使うことはそれ程多くはありません。

FAS経験後のキャリア

FASは監査法人以上の激務であるため、人材の流動性が高い業界で定年までずっと働くということは考えがたく次のキャリアを意識しておく必要があります。
Big4系のFAS、中堅含めて労働環境に優れたところはあまり聞いたことがないです。
(数は少ないですが、ブティック型でワークライフバランスが優れている会社は、紹介を受けたことがあります。)
又、M&Aと聞くとキラキラしたイメージですが、実際はひたすらQ&Aのやり取りをしたりと泥臭い面もあり、必ずしも面白いとは限りません。
経験を積むための期間と割り切ることも必要でしょう。
まず上記で記載しましたが、FASへの転職は若い方が望ましく、次のステップアップの転職をする際にも30歳前半で3年程FASの経験があるとDDからバリュエーション領域への転職もしやすくなります。

FASへの転職

FASからの転職先としてはやはり同業のFASが多いです。
大手で専門性を磨いた後、中小で総合力をつけるといった選択肢がありますし、または最初は中小で全体を見て大手で特化したい分野を極めるという道もあります。
又、FAS内での競争は監査法人以上に厳しくマネージャーになるのも監査法人以上にハードルが高いです。他のFASに転職する際にもマネージャーに上がれたか上がれなかったかで評価される面もあるので、ずっとFAS業界で生きていくつもりであればマネージャー以上への昇格を狙いましょう。

投資銀行への転職

FASからのキャリアアップとして、代表的なものが投資銀行への転職です。
投資銀行の特徴としては、FAが中心で、Big4以上に大手企業のM&Aに特化していることと営業やデリバリーなど役割ごとに部署が分けられていることが挙げられます。

FASのFAでも似たような業務を提供していますが、あくまでコンサルの立場からのアドバイザリー業務であり、資金調達の支援までできるわけではありません。
公認会計士の倫理問題で成功報酬体系が禁止されていることも関係しているのか投資銀行に比べるとかなりFASのFee水準は低くなっています。
そのため、同じようなポジションでもかなり報酬に差があります。
ただし、その分Big4とは比較にならないほど激務です。
FASで財務デューデリジェンスしか経験していない場合は、30代前半程度までなど若い方が望ましく、30代中盤以降はFASでバリュエーションやFA、M&Aアドバイザリの経験を有していることが求められます。
なお、FASから外銀IBDへの転職は、FASでの業務内容はM&Aと言っても、DD周りが多く、外銀IBDバンカーのように、案件を取りに行くスタイルとは若干異なるため、かなりハードルは高い。
国内系金融機関の投資銀行部門であれば、ハードルは下がるため、給与水準はFASと大差ないものの、外銀のIBDに転職したい場合は、1回日系を経由するのもありかと思います。

事業会社への転職

又、事業会社への転職としては、会計のキャリアからは離れるので、経理職として事業会社へ転職するのは難しくなります。
経理でなければ、大手商社の事業投資系の部署や大手商社のDDを専門にやる別会社でファイナンススペシャリストとして働くという道もありますし、コーポレートベンチャーキャピタルでの求人も増えてきています。
業務内容としては、財務モデルの作成、レビューや投資スキームの立案、買収案件のDDや買収後のPMIと幅広い経験がつめてFASの次のキャリアとして魅力があります。
又、大手企業でM&A専門の部署で働くという選択肢もあります。

FASから独立開業

独立した会計士の方でサービスラインの一つとしてデューデリジェンスやバリュエーションを展開している方も多いです。市況に左右され、継続的な受注は少ないものの、スポットで単価が比較的高いという特徴があり、独立時にサービスとして提供できると選択肢が広がります。

大手FASでの経験は、Big4FAS経験者というネームバリューで拍はつきますが、扱う案件規模が大きいことから、独立後に個人で獲得できる規模の案件に携わる機会はあまり多くありません。
しかし、やはりBig4で経験を積んだ方の成果物は質が高く、下請けで業務を受ける際も評価されるようです。
独立系のFASでは対象とするクライアント規模は小さくなる分、経営層との距離も近くなり、直接独立に役立つ経験や人脈が得られるという特徴があります。

FAS転職におすすめのエージェント

FAS転職におすすめのエージェントとしては、まずFASの業務内容を深く理解しているエージェントを利用することが大事です。大手で新人のコンサルタントにあたった際、残念ながらあまり業務内容を理解していないケースがありました。
ひどいエージェントだとDDの職種を希望しているのにバリュエーションの案件を紹介されたり、FAと仲介の差を理解しておらず、FAを希望しているのみ関わらず仲介を紹介されたりといったこととも起こりえます。

大手Big4系はどこのエージェントでも大体扱っているので、公認会計士専門のエージェントをおすすめします。

Big4FASの場合は公式ホームページでも採用情報は載っているのですが、年齢により給与テーブルが決まっているわけではなく、初年度の給与は交渉次第という面があります。

個人が交渉するのは色々と大変かと思いますので、報酬交渉はエージェントに任せた方が無難です。又、中小のFASの案件は個人で探すのが大変ですし、非公開案件も多いので、中小のFASへの転職を目指す場合も転職エージェントの活用がおすすめです。

マイナビ会計士

マイナビ会計士

こちらは大手マイナビが運営している会計士専門のエージェントサービスです。
私も実際に使っていたのですが、会計士専門のアドバイザーの方がおり、きちんとFASの業務内容やその後のキャリアも理解していました。

大手であり、非公開求人も多く、ファンド等のFASの次のキャリアの参考になる求人もありますので、おすすめできます。

マイナビのプロモーションを含みます

MS-JAPAN

MS-JAPANは、飯田橋に本社がある公認会計士や経理財務に特化したエージェントでFASへの転職支援経験が多く蓄積されています。
面接対策やFAS転職後のキャリア等一歩進んだ話ができるかと思いますので、おすすめできるエージェントです。私も実際に使ってみた経験があり、自分の希望額を伝えて、先方と交渉をしてくれました。

JACリクルートメント

JACリクルートメントは公認会計士専門というわけではないのですが、外資系や管理系の転職に強く、職種や業界ごとに専門のコンサルタントがおり、エージェントや求人の質が高いことが特徴です。コンサル転職の中でも会計系に強く、FAS求人も幅広く扱っています。

FASへのおすすめの転職エージェント
マイナビ会計士公式HP
大手マイナビが運営している会計士専門のエージェントサービス
MS-JAPAN公式HP
公認会計士や経理財務に特化したエージェント
JAC公式ホームページ
外資系や専門職の転職に強いエージェント

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