会計士のフォレンジック分野の転職

コンサルティング

会計士の転職先として、日本ではまだ多くはないですが、フォレンジックをやりたいという方も少数派ではありますが、増えてきています。
今回は、フォレンジック業務、会計士のフォレンジック分野への転職、フォレンジック分野を扱っている会社があるのかについて紹介します。

フォレンジックの業務の魅力とは?

フォレンジックとは、辞書的には、

犯罪捜査における分析、鑑識を意味する語である。法医学などとも訳される。IT用語としては、コンピュータの記憶媒体に保存されている文書ファイルやアクセスログなどから犯罪捜査に資する法的証拠を探し出すことを指すことが多い。

とされています。
上記は広義のフォレンジックですが、FAS等で扱っているフォレンジックでいうと
不正に関する診断サービスや不祥事が起こった場合の第3者委員会としての立場でのサポート、
米国訴訟におけるeディスカバリー(電子証拠開示)への対応、
知的財産権やライセンス契約に関するサービス、粉飾や横領をはじめとする会計不正が疑われる場合の詳細調査等幅広いことが特徴です。
会計監査とは違い、不正調査は義務ではなく、クライアントが率先して実施するものであり、成果があれば、クライアントから感謝されることがあるというのが魅力です。
日本では、昨今企業会計不正等が明らかになり、注目が高まっている分野でもありBig4系アドバイザリー中心にフォレンジック部門を強化してきており、市場全体が伸びている成長市場です。
とはいってもこの分野においては、日本は、欧米よりも遅れているのが実情で、M&Aや事業再生といった分野に比べると第一人者といえる専門家が少ないため、第一人者になりえるチャンスがある分野といえます。
主な業務内容としては以下が挙げられます。

・不正調査業務
■社内調査の支援、外部調査委員の派遣、調査委員補佐業務
■経営者不正、従業員不正、情報漏えい等あらゆる不正に対応する調査
■不正の兆候や疑いの調査 等
不正調査業務は、不正の背景や被害規模などの事実解明及び調査手法や調査スケジュール、調査報告書作成など解決のため具体的アドバイスを行い、会社が実施する社内調査を支援する業務が中心です。
不正の調査の場合は、不正の証拠は、パソコンやスマートフォン、送受信したメールや会社の帳票をみて、徹底的に調査します。
不正を働こうとするものは、当然メールや証拠を隠滅していることが多いので、メールの受け手やデータを復元することで対応します。
又、最近ではチャットやSNSを使ってやり取りすることも増えているので、そのあたりも調査もするようです。
どの人間とやり取りをしている可能性が高いか、時期はいつの可能性が高いか怪しい箇所に仮説を立てて、メール等の調査や聞き取り調査等をしていきます。
上記のように仮説検証のアプローチをとっており、監査のリスクアプローチと異なる点といえるでしょう。

・不正リスクマネージメント業務

■不正調査実施後における是正措置の策定・実施支援
■不正リスク評価、不正リスク診断
■不正リスクマネジメント体制構築支援
■内部通報制度高度化支援
■マニュアル作成支援
■教育・研修支援

不正リスクマネジメント体制構築支援業務は、企業の内部統制等を生かし、企業独自の不正リスク戦略の策定および、実施を支援する業務です。
リスクアドバイザリーとして、不正リスク評価及び不正リスク診断によって不正リスクの発見・予防策を提案し、マニュアル作成、教育支援することが中心です。
企業の不正が新聞報道等でも報道されることが増えていますが、企業内部で不正などに関する報告が上がるといったような不正を顕在化させる仕組み作りや予防という観点で、会社の内部統制やガバナンスの中で不正が摘発できる仕組みや環境を作る予防という観点からの仕事も増えてきてはいます。
ただ、会社側からするとまさか自分の会社で大きな不正は起こらないだろうと思っている場合等は、中々本気で予防できる体制を構築しようというモチベーションは起こらないため、まだまだ不正発生後の対応が多いようです。
その他、M&Aで買収先の企業で買収前に行われていた贈収賄やカルテル等の不法行為が買収後に発覚した場合、買収を行った企業の責任が問われることがあり、ターゲット企業の買収後に想定外のコストが発生しないようにコンプライアンスデューデリジェンスやITデューデリジェンスをするといった仕事もあり、仕事は幅広くなります。

必要な経験とスキル

フォレンジックは、専門性が高く、会計士試験に合格したからといって新卒で活躍できるような職ではなく、募集要項には、会計監査の実務経験が3年以上ある公認会計士(準会員を含む)、米国公認会計士(科目合格可)とされていることがほとんどです。
監査ができるからといって直ちに不正調査ができるわけではありませんが、監査は不正調査にとって基礎技術にあたり、実査、立合、確認、質問、突合、分析的手続きといった会計監査の手続きも不正調査に援用可能であるとされています。
又、日本の会計士試験に合格していることは必須ではなく、一般企業の経理・財務・経営企画の実務経験が3年以上あり、高度な会計スキル及び資格を保有している方も対象になっています。
そのため、フォレンジックは監査経験後、転職やグループ間異動による経験がほとんどでしょう。

又、不正調査は、海外子会社等も調査の対象になることがあり、グローバルファームと協力の必要があるため、英語力があった方が歓迎されます。
特にライセンス監査の際には、外国の法律が関わってくることから、外資系企業の日本法人や、海外の日本子会社を対象として海外のネットワークファームと連携して業務を行う必要があることも多くなります。

加えて、大量のデータを扱うことが多いため、エクセルだけではなく、Accessなどのデータベースツールの利用経験があった方が好ましいです。

フォレンジックの特徴として、コンピューター等でのログや履歴取り等ITの技能も求められますが、当然会計士が全部やる必要はなく、監査法人以上に他の専門家として協業して働く必要があることが特徴です。
他の専門家としては、弁護士、データサイエンティスト、AI専門家、ホワイトハッカー、金融専門家、エコノミスト等が考えられます。
従って、異なる分野の専門家を尊重し、チームワークよく働ける人が求められます。
会計士の場合は、監査で培った会計監査のノウハウ、内部統制監査のプロセスに関する知識、インタビュースキル等がフォレンジックに活かせるかと思います。
ただ、やはり監査からはキャリアチェンジになるので、簡単な気持ちで転職すると苦労するでしょう。

転職する際のポジションについて言及するとマネージャとしての採用としての場合は、フォレンジック分野でのマネージャー経験、Big4の海外オフィスで監査マネージャー経験、M&A業務でのマネージャー経験、内部統制、業務プロセス系のコンサルでのマネージャー経験、事業会社で関係会社管理、内部監査、リスクマネジメントでの管理職経験といったことが求められます。

スタッフやシニアスタッフの場合は、会計監査の実務経験が3年以上、事業会社の経理・財務・経営企画・関係会社管理の経験が3年程度以上、業務プロセス系コンサル、内部統制コンサル経験3年以上といった要件が考えられます。

監査はグルーバルの監査マニュアルがあり、それに従っていけば、実効性はともかく監査はできる体制になっていますが、不正調査の場合は、決まった型はなく、どのような方法でどのように調べるかを個別事案ごとに設計する必要があります。
そのため、あくまで一般論ですが、監査と比較すると難易度が高い傾向、より専門性が高い傾向にある業務といえます。

フォレンジック分野を扱っている会社

フォレンジック分野に強い会社としては、ネットエージェントといったデジタルフォレンジックを主に扱っているIT専門家中心の会社と不正調査に重きを置いている4大監査法人系のフォレンジック部門、元Big4で不正調査の経験がある独立事務所等がありますが、会計士の転職先としては、Big4系のFASがほとんどですし、経験がない場合は、まず大手で経験を積む方が無難でしょう。日本は、米国等に比べてフォレンジックの分野では遅れていますし、最新情報をアップデートする上でも研修体制でもまずは大手が無難かと思います。
市場価値としてもグローバルネットワークのあるBig4の方が望ましいでしょう。
海外子会社の不正の案件等適時に対応するためには、海外に拠点があることが不可欠だからです。
独立系事務所は、元Big4でフォレンジック分野の経験を積み、独立した方が多く、いきなり中堅規模の事務所で働くよりもBig4で経験を積んでからの方が得られる経験的にも収入的にも好ましいことが多いと思います。
IT専門家中心の場合はなおさらでフォレンジックの経験がある即戦力の会計士を求めているはずなので、未経験の場合はそもそも選択肢に入らないでしょう。

Big4の場合ですと
KPMG FAS、デロイト FAS、PWCアドバイザリー合同会社やEY Japan Forensics等でフォレンジック職の中途採用をしております。求人数も近年増加傾向にある感覚です。

フォレンジックの後のキャリア

フォレンジックは、監査よりも求人数自体は少ないですが、経験のある人も少なく、市場も拡大していることから経験者であれば、その後の職に困ることはないでしょう。
専門性と汎用性は、裏返しなので、その後に経理等へ転身するとなるとハードルは上がりますが、経験を持つ人は少ないので、同分野や周辺分野への転職に困ることは少ないかと思います。
フォレンジック部門で経験を積んで、独立する方もいるようです。
なお、フォレンジック部門の離職率は、他のアドバイザリーよりも低い傾向にあるようです。

フォレンジック分野に転職するには

フォレンジック分野への転職を目指す方は、エージェントの活用又はグループ間の社内異動がよいでしょう。
転職エージェントを活用する場合は、フォレンジック分野は、監査以上に特殊な分野なので、リクルート等の一般的なエージェントだと対応できる人は限定されます。
そのため、一般的な転職エージェントではなく、会計士の転職に特化したエージェントを使うとよいでしょう。
会計士の転職に特化したマイナビ会計士等であれば、フォレンジック分野を扱っている会社とも取引がありますし、転職支援の実績もありますので、サポートが期待できます。

 
会計士や経理財務周りの転職支援に特化しているジャスネットもHPによるとフォレンジックの転職支援実績があるようでフォレンジックの求人を保有しています。
 
MS-Japanも会計士や経理財務周りの転職支援に特化している東証一部上場企業ですが、フォレンジックの求人を紹介されたことがあります。
 

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