公認会計士試験に残念ながら落ちてしまった場合に、これまで使っていた専門学校を変えるという選択肢も頭に浮かんでくると思います。
ただ、専門学校を変えることにはメリットのみならず、デメリットもあることから個々の状況をみて判断する必要があります。
今回は、会計士試験の予備校を変えるべきか、変えないべきか判断のポイントを紹介しました。
専門学校を変えるデメリット
まず最初に専門学校を変える、他の専門学校に移籍することのデメリットをみていきましょう。
新規教材を勉強する負担、下書きの違い
まず使っているテキストが変わるため、これまでの予備校のテキストに比べてインプットしなおす負担が増えます。
勉強法のコツでもよく言われるのが、色々なことに手を出すよりも同じものを繰り返しやって完璧にした方が効率化がよいということです。
1回頭に残っているものとこれまでと違うものを勉強したのでは、通常はこれまで慣れ親しんだものの方が定着率が高くなります。
又、専門学校によって、指導方法も異なります。
例えば、連結の問題を解く際にTACと大原では、連結修正仕訳が違ったり、連結や退職給付の下書きの書き方が違います。
本質は何も変わらないのですが、人によっては、下書きが違うことによって、これまで慣れていた解法ではない解法を理解する必要が生じ、追加の負担となる可能性があります。
教え方、解き方が違うので、前の学校の方がわかりやすかった…と後から思ってしまう可能性はあります。
料金は高くなる傾向にある
専門学校は、受験生の囲い込みのために継続して受講する受験生を優遇する制度を設けています。専門学校を変えることで受講料が高くなる傾向にあることがデメリットのひとつとして挙げられます。ただ、その金額はせいぜい数万程度で10万にも満たない金額です。
それよりも早く合格できれば、簡単に回収できるので、それほど気にする必要はないかと思います。
但し、他の学校から変える場合であっても成績優秀者については、キャンペーンを行っている場合があります。
成績上位者が専門学校を変える場合は、そのことも知っておいた方がいいと思うので、各専門学校から資料を取り寄せて確認するとよいでしょう。
なお、詳細は各予備校のパンフレットを取り寄せて確認してほしいのですが、合格発表前に講座を申し込んでも合格していたら全額返金される制度があります。
合格発表前に申し込んで、後から合格していることがわかっても安心して勉強できます。
専門学校を変えるメリット
新たな気持ちで再出発
一方で専門学校を変えることで新しい気持ちで再出発できるというメリットがあります。
人は全く同じものをもう一度1年間繰り返すというのは、精神的な負担が大きいものです。
マンネリ化して、学習効率や意欲が落ちるという面もあります。
専門学校を変えることで、気分を切り替えて、心機一転勉強することができるというメリットがあります。
人間関係をリセットする
専門学校は、基本的に勉強しにいくところかと思うので、人間関係は気にしなくてもよいと思いがちですが、意外と人間関係の悩みはあります。
特に人間関係があまりよくない専門学校の校舎だったりする場合は、変えるというのも手かと思います。
人間関係がよくないというのは、別に仲がよいとかいうわけではなく、切磋琢磨するのではなく、長時間おしゃべりをして時間をとられたり、学習の妨げになるような方との関係がある場合です。
受験仲間との交流の時間の占める割合が多すぎたパターンです。
特に長期間学習をされているベテランの方で、ずっと仲間内でおしゃべりをしているような方と関係が深く、無下にすることもできずに負担に感じているという場合には、経験上、合格のためにも、合格後にもプラスにはならないと思いますので、校舎を変えるか、専門学校を変えるかした方がよいのではないかと思います。
理解が深まる
予備校によってというよりも講師の差が大きいと思うのですが、講師の方の教え方には、上手い下手があります。
どこもテキストには大きな差はありませんが、講師の教え方によって、理解の深さも変わってきますし、監査法人での事例等イメージがわく形で教えてくれる方と単にテキストを読んでいるような方ではモチベーションにも大きく変わってきます。
現在の専門学校の講師の教え方や教材に疑問をもっている場合は、変えることを検討してもよいでしょう。
又、下書き等解法が違う点については、慣れないことを学ぶ必要はありますが、これまでと違う視点で見ることができるため、理解が深まるというメリットもあります。
個々人の状況を考える
上記のように専門学校を変えるデメリット、メリットを挙げましたが、個々人の状況により専門学校を変えるべきか続けるべきかというのは変わってくるかと思います。
勉強期間と合格までの距離
例えば、考慮すべき事項として勉強期間と合格までの距離です。
勉強期間が1年半で短答式には通ったが、論文式には落ちてしまった方の場合は、一般的にはこれまでの予備校を続けた方がいいのではないかと思います。
というのも1年半で短答式には合格できた以上、それなりにその予備校を使った成果がでているはずですし、まだ受験が2回目なので、これから新しいことに取り組むよりも慣れている教材をしっかりこなした方が合格可能性は高いと思います。
又、また勉強期間が短期なので、マンネリ化も発生しないかと思います。
特に論文式の成績通知書から、あとどれくらいで合格できたのかというのがわかりますが、あと少しだったという方はこれまでの専門学校から変えない方がよいかと思います。
ただし、周りの受験仲間から合格が確実といわれていて、落ちてしまったことでプレッシャーを感じるといったケースの場合は、予備校又は校舎の変更を検討してもよいと思います。
受験回数の多さ
同じ専門学校を使って、しっかりカリキュラムに従って勉強してきたにも関わらず、2回以上落ちてしまっている場合は、専門学校の変更を検討してもよいと思います。
同じ専門学校に通っていると、答練の癖のようなものがあり、慣れてしまい、答練ではよい成績を取りやすいということも起こります。
よく答練では毎回上位なのに、なぜか受験が長期化してしまっている方がいますが、その方は予備校の作成する答練の出題傾向に慣れてしまっているという面もあります。
本番の試験では、予備校が問題を作成するわけではないので、特定の予備校の答練強くなってもあまり意味はありません。
又、受験回数が増えることで、勉強内容のマンネリ化、モチベーションの低下を起こしやすいです。
公認会計士試験では、頭の良さのようなものは特に求められておらず、繰り返し勉強して精度と速度を上げて対応していくことで合格可能性は高まりますし、凡人でも十分に合格することができます。
勉強期間の長期化によるモチベーションの低下やマンネリ化、ネガティブな意味での慣れがある場合は、専門学校を変えてみるのもひとつの手段かと思います。
まとめ
これまで使っていた専門学校を変えるべきかどうかについて、デメリット、メリットをあげてきましたが、個々人の勉強期間と合格までの距離、受験回数等を考慮して判断することが重要です。
専門学校は、個々人の学習をサポートする存在でしかなく、結局は自分が勉強するかどうかの方が重要です。
上記を理解しつつ、学習環境もモチベーション維持に大きく影響してきますので、自分にあった専門学校を見つけてうまく利用しましょう。
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