公認会計士が総合商社へ転職するには?

公認会計士が総合商社へ転職するには? 事業会社

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総合商社への転職を希望する会計士は多く、監査法人を経て、総合商社のコーポレート経理部や事業部の経理、リスクマネジメント、投資判断、投資先の評価といった様々な活躍先があります。

今回は公認会計士の総合商社への転職についてみていきたいと思います。

総合商社に転職する会計士が増えている理由

総合商社に転職する会計士が増えている理由としては大きく2つあります。
ひとつは、総合商社では会計士の需要が高いという総合商社側の理由です。

・事業領域が広く、事業の動きも多いため、様々な会計処理が想定される
・連結子会社も多く、連結決算のレベルも高い
・投資先管理等事業会社の中でも会計知識・数字に強い方が活きる場面が多い
・IFRSを採用しており、高度な会計知識が要求される
等の理由から会計士の専門性は総合商社などでも活かしやすく、総合商社で会計士のニーズはあります。

会計士としても監査法人以外での数少ない高年収帯の転職先ということで、年収を落とさず、事業会社の経理を経験したいという方に人気があります。
業界でのポジションにもよりますが、総合商社では30歳で1,000万以上、35歳で1,200万~1,400万程とそれに加えて、充実した企業年金制度も含めると監査法人よりも高い報酬になります。
シニアマネージャーで転職した方によると部下無し管理職のポジションで転職したケースでも年収はそこそこ上がったようでした。

また、会計士の方で海外に興味のある方や英語力を活かした仕事がしたいという方がこの先のキャリアも見据えて商社へと転職されるケースも多いですし、上記で挙げたように転職者側からみても事業領域が広く、多くの会計処理に触れることができ、変化も多いビジネスのため、経理のキャリアを歩む場合でも経験を積みやすいということも魅力です。

会計士の総合商社での仕事 

会計士が商社に転職した場合、一般的な経理・財務等のポジションでの採用というケースもありますし、投資先の価値算定や投資判断等の業務を行うケースや子会社の管理・支援を担当するものもあります。
総合商社のビジネスは、トレーディングよりも投資が主となっており、活躍のチャンスは、他の業種よりも広いので、経理のみならず、幅広い業務をやりたい人には向いているでしょう。

経理財務のポジションで転職する場合は、大きくコーポレート経理と営業経理に分かれます。
総合商社の求人票上もコーポレート経理部(連結決算、全社予算管理)、営業経理といった形で分かれていることが多くなっています。

総合商社の営業経理・事業部経理への転職

営業経理については、総合商社は部署ごとに独立採算制をとっており、営業課ごとの経理・税務を専属で行う仕事があります。
営業の方と連絡をとりながら取引の内容をヒアリング・把握して会計処理を進めていきます。
残高調整表の作成等地味な仕事もありますが、経験を積んでいくとキャッシュの動きを月単位で予測する資金関係の仕事や投融資案件の会計・税務面からの精査および支援、関連子会社の経理支援と指導、会計監査対応、税務調査対応、移転価格税制対応の検討、部門が管轄している事業会社の業績管理等仕事の幅は広いです。
総合商社は、扱う商材も幅広いので、単一の製品を扱っている会社よりも一つの会社にいながらにして様々な事例や会計処理に触れられるメリットがあります。

総合商社で特に営業経理に配属された場合は、会計知識は当然ながら営業マンとうまくやっていくコミュニケーション能力が求められます。
難しいことを難しいまま伝えることは簡単なのですが、会計や税務を専門にやっているわけではない方にポイントを簡潔に伝えるコミュニケーション力が要求されます。
例えば、海外子会社との取引の値段設定で移転価格税制を考慮する必要がありますが、なぜ必要なのか、移転価格税制とは何なのかといった点も含めて、リスクの説明ができ、現場に納得感を持たせながらも現場にコントロールを利かせることができる方は重宝されます。
事業部門への配属といっても、当然ながらセールスマンとしての配属ではなく、会計士の経験が活かせる事業投資先のデューデリジェンスやリスクマネジメントといった仕事も多くあります。
事業投資先の管理も行いつつ、海外投資先の視察など、海外出張等も多くなり、監査法人に比べると非常にハードな仕事にはなります。
その後のキャリアとして駐在してその部門が管轄する海外現地法人での管理業務を行う等が考えられますし、求人にも明確に書いてあることが多いです。
ずっと転勤なしで同じ業務をやり続けるというのは難しくローテーションが前提で、海外転勤がNGな方には向いていないでしょう。
応募要件としては、計数管理、集計、分析など経営企画業務経験、財務モデリング経験、連結会計実務経験、ビジネスレベルの英語力が求められるケースが多いです。
特に計数管理、集計、分析の場合は、事業部の立場であっても下記で触れる本社へレポートする上で必要になるため、管理会計と制度会計の橋渡しができる方や連結上どのような影響があるまで考慮できる公認会計士や連結決算実務経験者が重宝されます。
又、総合商社は多様なビジネスを行っており、社内の取引を会計処理に落とす社内規則・ルールを作成するといった仕事もビジネスの理解と会計の知識の両方が要求され、難易度が高い仕事です。

総合商社のコーポレート経理への転職

一方、コーポレート経理の場合は、やり取りするのは、各事業部門の経理担当であることが多く、国際会計基準に基づく連結決算業務や全社予算管理業務、法人税、消費税等の申告・納税・税務調査対応業務、全社税務戦略の企画・立案業務といった全社の視点での業務が多くなります。
会計士の場合は、コーポレート側の方がIFRSや連結決算といったテクニカルな分野で直接経験を活かせると思います。
ただ、現場とのやり取りは営業経理よりも少なくなるので、事業に近いところで働きたいという方は営業経理の方がよいかと思います。
一方で、コーポレート経理の経験があると事業部で経理をやる場合においても、「これは連結上、影響があるので早めに本社にレポートしておいた方がよいな」といった本社の立場にたった勘所が養えるため、会計士の場合は、まずコーポレートで経験を積み、その後事業部にいくというのもありかと思います。
又、総合商社によってはCFO採用を行っており、経理、リスクマネジメント、子会社管理、海外駐在等をローテーションしてCFO人材を育てようという動きもあるようです。

総合商社のM&A関連部署への転職

総合商社は、卸売業というよりも様々な会社に投資する投資会社の性質が強くなっており、M&A専門の部署がある会社が多いです。
総合商社によっては、企業価値評価専門の別会社を持っていることもあり、求人の紹介を受けたこともありました。
業務内容としては、M&A案件の情報収集、企業価値算定、DD支援、投資スキーム構築支援、PMI支援、といったM&A一連の業務を営業などの他部署と協力して進めていくといった内容が多いです。
前職としては、経理というよりも金融、M&Aアドバイザリー、FAS、事業会社でのM&A経験者といった方が多くなります。M&Aの関連業務での経験が必須で、自分でモデルが組めることが要件とされていることが多くなります。

プロフェッショナルファームに比べるとチームワークが重視されるので、組織風土が合う合わないはあるかと思いますが、スキル的には監査法人からFASに転職して、FASから事業会社への転職を考えている方にフィットするかと思います。

会計士の需要は高いと書きましたが、当然ながら会計士の転職者の中でも人気のある業界のため、転職へのハードルは高く、部門にもよりますが、財務・会計のプロフェッショナルとしてのスキルだけではなく、コミュニケーション能力、学歴等採用要件は高いです。

英語等の語学力が高いレベルであることは前提条件となります。
過去、商社では新卒採用でほとんどの人材を確保しており、中途採用は、一部に限られていて昇進等もプロバーに比べると不利になるケースがありました。
しかし、最近は大手総合商社でも、若手を中心にITベンチャーやコンサル等への転職者が目立つようになってきたことと過去に中途採用で入社した人材が活躍したことによって中途採用を活用できる土壌が整ってきています。
語学力や将来的に海外での勤務を考えているのであれば、総合商社は魅力的な転職先でしょう。
これまでよい点のみを取り上げましたが、元々社員は優秀な方が揃っており、中途は中でも投資銀行出身者や戦略コンサル出身者等新卒以上に周りのレベルは高いので、出世競争は厳しいでしょう。

総合商社のプロジェクトは、事業規模が巨大な割に商社側の人数は少なく、人的リソースが限られています。(だからその分給与を高くだせるのですが)

人的リソースが限られる中で会計、税務は会計事務所、バリュエーションは投資銀行やFAS、法律は法律事務所と外部の専門家をアウトソース先としてハンドリングし、プロジェクトをいかに回せるかが重要になるという面があります。そのため、専門家をハンドリングしていくための、各分野の知識を若いうちから得られるというメリットがあります。
一方で、各分野の専門知識は一定程度必要なのですが、一定以上を超えると会社としては、専門家に確認すればよいとなるため、評価の対象になるかというと疑問です。
こちらはどの事業会社でもマネジメントレベルになれば同様かと思いますが専門性を突き詰めていったよりも、社内の人脈形成の方が出世する可能性が高くなり、仮に会計士の方が専門性を突き詰めたいとなったときにどこかで行き詰ってしまう可能性がある点は注意が必要でしょう。

会計士が総合商社へと転職するには

応募要件

応募要件としては、即戦力採用の場合は、
職務経験としては以下のいずれかの関連領域の経験5年以上

・監査法人での監査又は財務アドバイザリー経験
・税理士法人における申告実務、税務コンサルティング業務
・グローバル企業の経理経験

資格要件としては、
・公認会計士又は税理士は必須ではないが、歓迎要件
・IFRSの知識や導入企業の経験があるとプラス
・英語力はTOEIC 730点以上
というのが総合商社における要件として挙げられることが多いです。
学歴はやはり監査法人とは異なり、評価対象になってきます。
総合商社のプロパー社員は、高学歴社員がほとんどですので、気にされる方が多いですが、スキル面で確かであれば、
英語力については若ければ、これから学習する意欲あれば、ビジネスレベルは必要ないです。
過去においては、経験3年程度の公認会計士をCFO候補として採用をしていた時期もあったようです。
なお、総合商社は、監査法人より出向者も多数受け入れており、会計士の採用については、慣れているため、期待ギャップは少ないかと思います。

どのような会計士が転職しているのか

20代の若手会計士で転職するケースは一部のポテンシャル採用を除いてあまりなく、30代のある程度経験を積んだ会計士(インチャージ経験数年のシニアやマネージャー)が転職しているケースを多く見ます。
監査のみならず、DDや企業価値評価、決算支援等の経験があると評価されるでしょう。
総合商社は、IFRSを採用しているため、事業会社(グローバル企業)でのIFRSでの経理経験、連結決算経験があると評価ポイントになるかと思います。
募集要項の特徴としては、経験として経理経験にしろ、監査経験にしろ5年以上を求められているものが多いことと転職回数が少ない方が好まれることです。

又、監査法人から決算支援やIFRS導入支援といった形で出向している会計士がそのまま出向先で評価されて、転籍/転職しているケースもあります。
しかしながら、そのような機会を得られる人は多くはなく、多くの方は、転職スカウトサービスや転職エージェントを使用することになります。

総合商社ぐらいの大手企業になると中々リファラル採用は少ないでしょう。

総合商社では毎年キャリア採用を行っていますが、特に投資管理や別会社のプロジェクトの評価等商社では様々な部門が存在しており、それぞれごとに求められるスキル等も異なってきますし、表に出せない非公開求人もあるので、情報収集という意味では一度はエージェントやヘッドハンター等から転職の最新情報を聞いておくとよいでしょう。

おすすめの転職エージェント

総合商社に転職するならば、事業会社に強いエージェントと会計士転職に強いエージェントという視点で選ぶとよいでしょう。

マイナビ会計士

大手エージェントのマイナビが会計士に特化して転職サポートをしており、大手の求人の豊富さと会計士の業務への理解を兼ね備えたエージェントです。

事業会社の求人が4割と事業会社の転職を得意としており、総合商社の求人も保有しています。

マイナビのプロモーションを含みます

ビズリーチ

ビズリーチは登録しているエージェントや企業からヘッドハンティングを受けることができるハイクラス向けの転職サービスサイトになります。

年収2,000万を超えるような案件はあまりなく、年収750万~1,500万の案件が多いイメージで、多くの総合商社が募集をかける際に使っています。又、バリュエーション専門の機能子会社等の非公開案件では、総合商社の転職を強みとしている個人のエージェントを使うことができます。

MS-Japan

MS-Japanは、会計士の転職や経理財務の転職に特化している専門型のエージェントです。
通常のオープンポジションで公開されている案件のみならず、M&A部署での案件や投資評価専門の戦略子会社等非公開案件を紹介されたこともありました。
幅広く案件を拾うのであれば、登録しておいて損はないエージェントです。

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